道路陥没事故の防止へ 地下占用物連絡会議 管理者と占用者で情報共有(関東整備局など)
[2025/4/26 栃木版]
国土交通省関東地方整備局をはじめ、県内の各道路管理者と地下占用事業者は25日、県宇都宮土木事務所で県地下占用物連絡会議(会長:笹木和彦宇都宮国道事務所長)の第1回会議を開催した。この会議は、道路管理者と地下占用事業者が相互の点検計画や点検結果を共有するほか、道路陥没を防ぐ取り組みの情報を共有する場として、県道路メンテナンス会議の下部組織として設置する。今後は道路管理者と占用者の情報の共有や調整を進めたうえで、意見交換するため7月ごろにも第2回会議の開催を予定する。
この会議は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故と同様の事故を防ぐための対策の1つとして、道路管理者と地下占用事業者が相互の点検計画や点検結果、道路陥没を防ぐ取り組みの情報を共有する場として、県内の全ての道路管理者で構成されている栃木県道路メンテナンス会議の下部組織として設置する。
対象施設は高速道路、直轄国道、公社道路、補助国道、都道府県道、市町村道に関係する道路地下の鉄道施設、通信関係施設、電力関係施設、ガス関係施設、上下水道施設、その他必要と認める施設となる。
メンバーは、この対象施設の占用者と関係する道路管理者で、今回の第1回会議では道路管理者30者と、地下占用事業者36者(公営および民間の通信・電力・ガス・上下水道などの事業者)が参加した。
会議の調整・共有内容は、占用者の当年度の点検計画と前年度の点検結果、道路管理者による路面下空洞調査結果、前年度の道路陥没実績、陥没箇所の措置事例、その他道路陥没対策に寄与する情報などとし、年1回を基本に適宜開催する。
会議の冒頭、笹木会長は「埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故と同様の事故を防ぐための1つの対策としての会議であり、陥没の原因と考えられる下水道のみならず、ほかの地下占用事業者や道路管理者でも自分事・我が事として捉えて取り組むことが、道路陥没などの重大事故を防止することにつながる」との考えを示し、事の重大性・重要性を改めて認識して適切な管理に向けた取り組みを実施するよう協力を求めた。
今回の会議では▽栃木県地下占用物連絡会議の設置▽道路の老朽化対策と陥没事案への対応▽今後の進め方▽意見交換-の4項目を議事として開かれた。
このうち道路の老朽化対策は、近接目視を基本とする5年に1回の定期点検が法令で定められている。橋梁約70万橋、トンネル約1万本は、知識と技能を有する者が5年に1回、近接目視を基本とする全数監視を実施しており、点検した時には施設の健全性の診断を行って、その結果を統一的な区分に分類している。
点検が5年に一度の定期点検と位置づけられた2014年から既に10年以上経過し、現在は3巡目の点検に入っている。橋梁やトンネル、道路付属物の2巡目の点検状況は概ね100%で、建設後50年を経過した橋梁の数は増加している一方、修繕等が必要な判定区分3.4の橋梁数は着実に減少している。
道路陥没の発生状況は、直轄国道、都道府県道、市町村道を合計して22年度は1年間で1万ー548件発生している。発生要因は、道路施設が要因となった陥没が1番多く約半数となっているが、その次には道路占用物件が要因で陥没が発生している。なお、都市部については道路占用物件が要因の割合が大きく、特に下水道の割合が大きくなっている。
これらの道路陥没は、3m未満の浅い層での発生が99%とほとんどを占めている。DID地域や商業地域では同じ区間内に空洞が複数確認されるなど、空洞発生の顕著な区間が存在している。
今後の進め方は、このあと5月か6月頃に道路管理者と占用者の情報の共有として、道路管理者から占用者に対しては路面下空洞調査の当年度の計画や前年度調査結果の共有、原因不明の陥没箇所の共有などを行う。占用者からは占用物件の点検計画や点検結果を共有し、両者から共有された情報をもとに管路の損傷箇所と空洞確認箇所が同一または隣接する場合の対応に向けた調整を図り、そのような調整状況や点検状況などの意見交換をする場として7月頃にも第2回の地下占用物連絡会議を開催する。