日光川治で工事着手 事業計画 3事業に約39億円計上(宇都宮国道)
[2025/4/24 栃木版]
国交省宇都宮国道事務所の2025年度の県内の事業概要によると、主な事業費は改築事業が19億2700万円、交通安全事業(I種)が7億6900万円、同事業(II種)が2億9300万円、電線共同溝事業が10億円の、合計39億8900万円を計上する。改築事業は本年度から、日光川治防災の改良工や橋梁下部工に着手。国道4号は西那須野道路で電線共同溝工事や歩道橋工事、矢板拡幅で前岡地区の改良工事などを継続する。また、交通安全事業では国道4号の平出工業団地交差点改良など、電線共同溝事業では足利市西新井町電線共同溝などを推進。このほか、道路施設の老朽化対策で国道4号の栃福橋や新4号国道の新利根川橋(下り)、国道50号の新巴波川橋などの橋梁補修工事を予定する。
改築事業のうち、国道121号日光川治防災は事業費4億4000万円を計上し、調査設計や川治地区公共補償を実施するとともに、本年度から川治地区改良工や川治地区橋梁下部工で工事に着手する。
この事業は、日光市五十里から川治温泉川治まで、延長3.4kmの防災対策事業。関東・東北豪雨で川治温泉街が一時的に孤立したことから、日光市川治地区~藤原地区の約8km区間を優先整備区間と定め、そのうち日光市五十里から川治温泉川治までを国直轄の権限代行事業で進めている。
事業区間の川治側ではこれまで、道路設計や橋梁設計、トンネル設計などを実施して事業に必要な用地幅などを確定し、県事業の日光川治防災に接続する取付1号橋でも調査設計を促進している。一方の五十里側については、道路設計や橋梁設計、トンネル設計で事業に必要な用地幅などを確定している。
国道4号は、西那須野道路の整備で調査設計、三区町地区ほかの公共補償や改良工、三区町地区電線共同溝工、烏ヶ森公園歩道橋工を実施する。この道路は那須塩原市三区町から西富山まで、延長4.6kmのバイパスおよび現道拡幅事業で、25年度の事業費には6億8700万円を配分する。
同じく矢板大田原バイパスは、矢板市針生から那須塩原市三区町まで延長7.9kmのバイパスと現道拡幅事業で、区間内にはJR東北本線や箒川、江川を渡河する新橋を架設する。25年度は事業費2億5000万円を予算化し、調査設計や土屋地区ほかの用地買収、環境整備を継続する。
矢板拡幅は、矢板市片岡の東北道矢板ICから同市針生の矢板大田原バイパス南側まで、延長6.5kmの現道拡幅事業。19年度に都市計画決定され、道路の影響範囲が確定して用地買収に着手した。25年度は事業費5億5000万円を確保して、調査設計や片岡地区ほかの用地買収、前岡地区の改良工の進捗を図る。
交通安全事業(I種)の粟宮歩道整備は、小学校の通学路に指定されている国道4号の小山市粟宮地先1.4km区間で上下線の歩道整備を行い、歩行者の安全な通行空間を確保する。幅員を現況の12.15mから16mへと拡幅し、歩道(3m×両側)の下には電線共同溝も設ける。25年度は事業費2億0500万円を確保して、用地買収や歩道整備工事を引き続き実施する。
国道4号の平出工業団地交差点は、国道4号、新4号国道、国道119号が交差する交差点で、国道4号上り線の直進車両の渋滞により左折車両を阻害することから、前方車両の減速による追突事故が多い。このため、上り線の左折レーンの延伸や路面標示、カラー舗装といった交差点改良を実施し、効果的な交通安全対策を推進する。25年度は事業費1億7700万円を計上して、引き続き交差点改良工事を実施する。
電線共同溝事業は、電線類を地中化することで安全で快適な歩行空間の確保、台風・地震などの災害に強い街づくり、高度情報化に向けた通信の信頼性の向上を図る。25年度は予算額10億円で、いずれも国道4号の▽小山喜沢電線共同溝(延長3km)▽下野市薬師寺電線共同溝(同3.1km)▽下古山・茂原電線共同溝(同3km)▽下古山・茂原(2)電線共同溝(同1.2km)▽平出工業団地(2)電線共同溝(同0.9km)▽下岡本町電線共同溝(同2km)▽中岡本町電線共同溝(同3.5km)▽宝積寺電線共同溝(同9.6km)-と、国道50号の足利市西新井町電線共同溝(延長1.4km)で調査設計、支障物移設、本体工事(引込連系管路工事等含む)を実施する。
このほか、同事務所では主に県内の国道4号、新4号国道、国道50号の3路線、総延長約230kmの維持管理を行っている。道路巡回や道路清掃、除草、樹木の剪定、除雪などの日常管理のほか、道路施設の老朽化対策で橋梁や道路施設の点検を行い、その結果を踏まえた補修工事などを実施する。
このうち道路施設の老朽化対策では、25年度に橋梁点検を国道4号の鬼怒川橋や新4号国道の柳橋跨道橋、国道50号の足利陸橋などで、また橋梁補修工事を国道4号の栃福橋や新4号国道の新利根川橋(下り)、国道50号の新巴波川橋などで実施する。
災害協定では、同事務所が管理する道路施設に災害が発生した場合または発生の恐れがある場合に、詳細な被災状況を把握し被害の拡大防止と被災施設の早期復旧に資することを目的に、県測量設計業協会と無人航空機およびオペレータによる災害応急対策活動(ドローンによる撮影)の協定を締結しており、定期的に訓練も実施している。
除草については、全国で唯一雑草の研究施設を有している宇都宮大学と16年1月に雑草防除の連携協力に関する協定を締結し、雑草が生えにくくなる技術や低コストで除去する方法を協働で研究している。直轄国道の管理者が雑草対策で協定を締結するのは、全国初の試みとなる。