熊谷知事が所信表明 流域治水や産業拠点に重点 北千葉道路の早期開通めざす(千葉県)

臨時県議会で所信表明する熊谷知事

臨時県議会で所信表明する熊谷知事

[2025/4/19 千葉版]
 熊谷俊人知事は18日、臨時県議会で2期目就任後初めて所信表明を行った。一宮川をはじめとする流域治水対策や、成田空港周辺地域の国際的な産業拠点の形成などを重点的に進めていくとともに、北千葉道路の1日も早い全線開通を目指す考えを示した。 

 熊谷知事は、これからの4年間は圏央道の全線開通や成田空港の拡張事業の進展など、大きな飛躍が期待されるとした。本県の拠点性が高まっていく絶好の機会を、県内全体の活性化につなげていくため、広い視野に立って、戦略的に取り組んでいく。

 日本全体を覆う人手不足や、少子・超高齢化がさらに進むなど、課題が山積していると指摘。県民一人ひとりの命と暮らしを見つめる細やかなまなざしを持って、次の4年も初心を忘れず、全力で県政に取り組んでいく考えを示した。

 具体的な政策・ビジョンとして、一宮川をはじめとする流域治水対策や能登半島地震の教訓を踏まえた「半島型地震」への対策を強化する。上下水道施設をはじめとしたインフラの更新・耐震化をスピードアップするなど、さまざまなリスクに対して備えを万全にする「防災県・千葉」の確立に向けた取り組みを進めていく。

 第3滑走路の新設など、2029年に向けて進行中の成田空港の拡張事業は「第二の開港」とも言うべきビッグプロジェクトと強調。この機会を逃さず、国や空港会社などとの連携のもと、空港内外一体のまちづくりを強力に推進していくとともに、空港周辺地域における国際的な産業拠点の形成を目指す。

 空港周辺地域にとどまらず、将来の県経済をけん引するエリアを県内各地に創出し、県内全域への企業誘致・投資へつなげていくため、企業立地補助制度の見直しや、不足している産業用地の創出などに取り組んでいく。

 京葉臨海コンビナートでは、国や立地企業と連携して、日本をリードするカーボンニュートラルコンビナートへの転換を図る取り組みを促進する。

 半島性を克服する交通インフラについて、26年度中には圏央道の県内区間の全線開通が見込まれるなか、この整備効果を全県に広げていくため、銚子連絡道路や長生グリーンラインなどの整備を着実に進めていく。

 人口が集中し、渋滞が深刻化している県北西部については、北千葉道路の1日も早い全線開通を目指すとともに、新湾岸道路や千葉北西連絡道路の早期具体化に向け、国に対し積極的に働きかける。

 県庁の経営効率化やデジタル化を進めるとともに、県と政令市の連携強化など、現場主義と対話によって、開かれた県政の実現を目指す。

 これらのビジョンを実現するため、新たな総合計画を策定する。9月議会をめどに諮るべく速やかに検討を進めていく。行財政改革計画もあわせて改訂する考えだ。

 熊谷知事はこのほか、3月31日に旭市内の農場で確認された豚熱の防疫措置に関する経費10億円について、24年度補正予算を編成し、専決処分したことを報告。対応に当たっては、速やかに対策本部を立ち上げるとともに、熊谷知事も農場に行き、現地の状況を確認した。4月2日に殺処分が終了し、14日に埋却や清掃消毒を含む防疫措置を終えている。

 議案ではこのほか、新たな副知事に高梨みちえ氏を選任することを求める議案も上程されている。

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