国補37カ所に17億円 治山事業 熊の鷹沢上流で新規に谷止工(県森林整備課)

[2025/4/15 栃木版]

 県森林整備課は、2025年度に実施する主な治山事業箇所を明らかにした。国庫補助は7市2町の37カ所を対象に、事業費17億4090万円を予算化している。新規事業は熊の鷹沢上流(宇都宮市)や富沢(塩谷町)などで予防治山事業を実施するほか、川化や古関、板荷畑(いずれも鹿沼市)、出原沢(佐野市)などの事業完了を目指す。また県単事業は、7市2町の19カ所に1億6140万円を確保し、新規事業の立足(矢板市)や護安沢(那須塩原市)などで工事を実施する。

 治山事業は、台風などで被災した林地の早期復旧および保安林の持つ公益的機能の維持増進を図るとともに、防災・減災、国土強靭化を目的とした対策として、渓間工や山腹工を実施するもの。大規模な災害箇所の復旧や現年に発生した災害箇所の緊急的な復旧には国庫補助を活用し、それ以外の小規模な災害箇所の復旧は県単事業で実施している。

 本年度の国庫事業の主な新規箇所を見ると、予防治山事業では熊の鷹沢上流や富沢に着手する。熊の鷹沢上流では、不安定土砂の流出を予防するため堰堤(谷止工)9基を25年度から27年度にかけて整備する計画で、本年度は3基の設置を予定する。また富沢は、河床浸食を防ぐため床固工3基の設置を計画。事業期間は2年間で、本年度は測量などを実施し、26年度に工事を予定する。

 継続事業は、川化で流路工を21年度から25年度までの期間で取り組んでいる。本年度は70mの流路工を実施して、事業の完了を目指す。小薙右沢中流(日光市)では、昨年度に測量設計を行っており、本年度は法枠工1500平方mを予定する。

 那須塩原市の一の沢上流で行っている山地災害重点地域総合対策事業は、本年度に900平方mの山腹工を予定している。事業期間は23年度から26年度としていたが、前倒して本年度の事業完了を目指す。

 鹿沼市の川化は、70mの流路工を予定。古関では24年度8月の豪雨災害の復旧で、山腹工3000平方mを実施する。板荷畑は、24年度から実施している予防治山事業で流路工71mを実施。これらはいずれも、本年度の事業完了を目指す。

 盲沢(日光市)は、谷止工1基を予定する。緊急防災減災対策総合治山事業は28年度までの事業計画で谷止工5基を予定しており、今回が3基目となる。

 出流原は昨年度に測量設計を行っており、本年度は谷止工2基の設置を予定する。また前沢(日光市)は、21年度から29年度までを事業期間とする復旧治山事業で谷止工5基と山腹工8000平方mを計画。これまで山腹工1400平方mを施工済みで、本年度は谷止工1基を予定する。

 県単事業は、19カ所で事業を実施する。主な箇所のうち、ヒツ沢(鹿沼市)は洗堀防止のコンクリート製の水の三和土を30m設置する。立足(矢板市)は緑化工で、植生マット200平方mを設置する。護安沢(那須塩原市)は、谷止工1基を設置する。

 また継続事業は、瀬尾沢川(日光市)で延長110mの流路工を実施する。蓑沢(那須町)は、森林整備で山腹斜面に補植し緑化を図った箇所1.13haで下草刈りを実施する。

 主な事業箇所は次の通り。(▼は新規)

 《国庫》
【復旧治山】
▽川化(鹿沼市)=流路工
▽小薙右沢中流(日光市)=法枠工
▽前沢(日光市)=谷止工
【緊急予防治山】
▽古関(鹿沼市)=土留工
【山地災害重点地域総合対策】
▽一の沢上流(那須塩原市)=土留工
【予防治山】
▼熊の鷹沢上流(宇都宮市)=谷止工
▽板荷畑(鹿沼市)=流路工
▼富沢(塩谷町)=流路工
▽出原沢(佐野市)=谷止工
【緊急防災減災対策総合治山】
▽盲沢(日光市)=谷止工

 《県単》
【県単治山】
▼ヒツ沢(鹿沼市)=流路工
▽瀬尾沢川(日光市)=流路工
▼立足川(矢板市)=緑化工
▼護安沢(那須塩原市)=谷止工
▽蓑沢(那須町)=森林整備

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.