発注標準を見直し 入札・契約実施方針 ワーク・ライフ・バランスを評価(関東整備局)

[2025/3/29 栃木版]

 国土交通省関東地方整備局は、工事、建設コンサルタント業務等、役務の提供等での2025年度入札・契約、総合評価の実施方針を策定した。主な変更点として、工事は発注標準の見直しや工事成績評価基準の見直し、配置予定技術者の工事成績評価の対象期間の見直し、技術提案評価S型(WTO)でVE提案を求めない場合の措置など、建設コンサルタント業務等ではワーク・ライフ・バランス等を推進する企業の評価の新設や若手・女性技術者奨励賞の評価の新設、若手技術者の活用評価の見直し、実施能力評価拡大型の見直しなどを行う。

 工事の変更点は、急激な工事費変動に対応するため、工事請負業者選定事務処理要領の発注標準の等級区分を見直す。例として一般土木工事及び建築工事の場合、Aランクは7.2億円以上から8.2億円以上に、Bランクは3億円以上から3.4億円以上に、Cランクは0.6億円以上から0.7億円以上などに変更する。

 また、工事成績評価基準は工事成績の評価点が集中化している対応として、工事成績の評価基準の配点を細分化するよう見直す。企業の工事成績の標準タイプの場合、現行では80点以上を6点、75点以上80点未満を3点、70点以上75点未満を1点、70点未満と実績なしを0点としていたが、見直し後は80点以上を6点、79点を5点、78点を4点、77点を3点、76点を2点、70点以上76点未満を1点、70点未満と実績なしを0点と改める。

 配置予定技術者の工事成績評価の対象期間は、企業の受注機会の確保、格差拡大の軽減および競争性の確保のため4年間から8年間に見直す。技術提案評価S型(WTO)は、「VE」の提案を求め難い場合、評価点の差を小さくするため「施工計画」を2項目求めるよう見直す。総合評価方式では、「直轄工事の実績がない」または「近年、受注実績のない」企業の新規参入を促すため、新たに「自治体実績チャレンジ型(II型)」を導入する。

 配置予定技術者の評価を行わない技術提案評価S型(WTO)は、配置予定技術者の拘束期間を短縮し企業側の負担を軽減するため、参加表明段階で技術者の資料を求めない方式を試行する。競争参加資格確認申請書とあわせて提出を求める配置予定技術者の資格要件に係る資料は、提出期限を落札前まで延伸する。総合評価落札方式ではまた、工期、安全性、生産性、脱炭素化などの価格以外の要素も考慮して総合的に価値の最も高い資材等を採用するよう努める新たな方式「技術提案評価SI型」を実施する。

 将来の担い手育成と若手・女性の入職促進を目的に創設予定の「若手・女性技術者奨励賞」の受賞者は評価して、自由設定項目の「難工事功労表彰、事務所独自の功労・貢献表彰等」の枠組みに追加する。女性技術者・若手技術者に係る資格、評価は、「女性技術者・若手技術者の活用を促す登用モデル工事」の交代要件(同等以上の技術者確保)が厳しいことや、女性技術者・若手技術者に係る総合評価の取り組みが煩雑になっていることから、資格要件の取り組みを廃止するとともに、総合評価で女性技術者と若手技術者に係る評価の設定を統一して運用する。

 ワーク・ライフ・バランス関連認定企業は、工事種別や等級等にかかわらず全ての総合評価落札方式案件で評価対象とする。また、一般事業主行動計画の策定を加点対象から除外する。自由設定項目「週休2日制適用工事の施工実績」は、週休2日制適用工事が原則全ての工事を発注者指定方式とし、公告した工事のほとんどで加点され、各企業の週休2日の取り組みは充分に浸透しているため、総合評価による政策誘導を終了することとし評価項目を廃止する。

 建設コンサルタント業務等の変更点は、建設業界全体でワーク・ライフ・バランス等が推進されることを目的に、「ワーク・ライフ・バランス等を推進する企業」として法令に基づく認定を受けた企業その他これに準ずる企業を加点評価する取り組みを導入する。

 若手・女性技術者は、関東地整が建設工事等で活躍している若手・女性の技術者を表彰し、建設業界の魅力発信や将来の担い手育成、若手・女性の入職促進に資することを目的に「若手・女性技術者奨励賞」を創設したことから、受賞した技術者を加点評価する。

 若手技術者は、公共工事に関する調査及び設計の担い手を育成・確保するため技術者に若手を配置した場合に加点評価する試行を2015年8月から開始していることを踏まえ、配置技術者の年齢に応じて段階的に加点する見直しを試行する。

 実施能力評価拡大型は、企業・技術者の実績評価を緩和することで関東地方整備局発注業務の受注実績が無いことにより参入が困難だった新規参入者の参入を促し、継続的な業務の担い手企業の裾野を拡げることを期待して22年8月から試行していることから、新規参入をさらに促す取り組みとして「新規契約の有無」を評価する見直しを試行する。

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