安全と順調な進捗願う 巴波川地下捷水路 シールドマシンの発進式(県など3者)

[2025/3/25 栃木版]

 県と奥村・岩田地崎特定建設工事共同企業体、および永野川・巴波川改良復旧工事等安全協議会の3者は24日、栃木市河合町地先の県立学悠館高等学校東側で、一級河川巴波川地下捷水路本体建設工事のシールドマシン発進式を開催した。関係者や来賓、および地元の小学生がシールドマシンの発進ボタンを押して、地下捷水路本体工事の安全と順調な進捗を祈念した。

 式典で、事業主の福田富一県知事は「舟運で発展してきた巴波川の景観を保全しながら、水災害のリスクに一刻も早く備えるため、地下トンネルによる捷水路の整備を進める。完成のあかつきには流水治水の基幹施設として機能し、地域の安全安心の確保に資するものと考えている」などと式辞を述べた。

 来賓は、茂木敏充衆議院議員が「豪雨に強い河川となることで、市民の安心安全を守り、栃木市の地域資源を守っていくことができると確信している。建設工事が安全かつ円滑に進み、治水対策が強化されることで栃木市がさらに発展することを祈念する」と祝辞を述べた。

 佐藤勉衆議院議員は「地下水が多い現場で、立坑に水1つ染み出していない施工に、心から敬意を表したい。是非事故のないように、栃木市民の安心安全を守っていただくため、皆さんの尽力をお願い申し上げる」などと話した。

 このほか、県議会の日向野義幸議長や栃木市の大川秀子市長が祝辞を述べ、国土交通省関東地方整備局の岩﨑福久局長は国土交通副大臣の高橋克法参議院議員の祝辞を披露した。

 引き続き、事業主や施工者、来賓など関係者をはじめ、県が募集したポスターに応募した栃木市内の小学生の中から、巴波川の魅力や地下トンネルでやってみたいことを表現して印象深い作品を提出した3人とともに、シールドマシン発進セレモニーを執り行った。

 このあと、永野川・巴波川改良復旧工事等安全協議会の斎藤和実会長は「この地に古くから潤いをもたらし、親しまれ、地域の発展と共に歩んできたこの両河川が、これからも引き続き栃木市のシンボルとなるよう、着実に工事を進める」と決意を表した。

 また奥村・岩田地崎特定建設工事共同企業体を代表し、奥村組の奥村太加典社長が「この地盤は堅く地下水も多いため、掘り進めるには最新の計画管理が必要で決して容易な工事ではないが、これまで培ってきた経験と技術を結集し、無事故・無災害のうちに必ずやご期待に沿える地下捷水路を完成させる」と、工事への意気込みを示した。

 巴波川流域では、平成27年関東・東北豪雨や令和元年東日本台風による河川の溢水で、栃木市中心市街地の広範囲に甚大な浸水被害が発生した。このため県は、河川激甚災害対策特別緊急事業による改良事業に2020年度から着手。巴波川については栃木市の重要な観光資源で、沿川が「伝統的建造物群保存地区」に位置付けられていることを考慮し、景観を保全しつつ災害にも素早く対応するため、地下トンネルの捷水路を整備することとした。

 23年度からは、工事を受注した奥村・岩田地崎特定建設工事共同企業体によりシールドマシンの発進立坑の工事が進められ、このほど無事完成。引き続き、発進立坑内でシールドマシンの組立てや各種機器の調整などを実施し、このあと地下トンネル工事を開始する。

 地下トンネルは外径6160mmの泥土圧式シールド工法で、巴波川や蔵の街大通りなどの地下を延長2427mに渡って堀り進む。その大部分は地下水の豊富な砂礫層で、深度は概ね地下10mと浅く、新栃木駅入口では90度の急曲線となるなど非常に難易度の高い工事となる。上流側の到達立坑などの工事もあわせて、全体事業費は約178億円にも及ぶ。

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