13カ所は協議継続 第4種踏切安全対策協 利用者に注意喚起も(県交通政策課)
[2025/3/22 栃木版]
県交通政策課は21日、県庁で「県第4種踏切安全対策協議会」の第3回協議会を開催した。県内の第4種踏切32カ所のうち、今回は対応方針が決まっていなかった残る13カ所について、各事業者や地元市町から対応状況の報告を受け、今後の対応方針としていずれの踏切も「引き続き、関係者と協議を実施」とした。これらの踏切は、今後も継続して関係者で協議などの取り組みを実施するとともに、2025年度以降は年1回程度の協議会を開催して、これら協議の進捗状況を確認しフォローアップを実施していく。
この協議会は、県内の第4種踏切について関係者が連携して安全対策を進めることを目的に設置する。第4種踏切は警報機や遮断器のある第1種踏切と比べて事故の発生する確立が高く、全国的にも痛ましい事故が発生するなかで、本県でも早急な安全性の向上が必要と考えて設置された。
第4種踏切は個別に利用状況が異なるため、今後の安全対策の検討や実施では各踏切の状況を十分に把握し、地域住民の理解を得ながら関係者が連携して取り組むことが必要となる。このため協議会は、第4種踏切を管理する鉄道事業者だけでなく、踏切の所在地の市町の担当課や、オブザーバーとして関東運輸局も参画し、県が事務局を務める。
議事に先立ち、同課の石崎浩課長は「本年度内に、県内全32カ所の第4種踏切の安全対策の方針を決定することを目標に取り組んできた。第2回協議会では、安全性が確認された18カ所で引き続き安全対策を徹底していくこと、1カ所で廃止の方針を共有した」とこれまでの経緯を説明した。
続けて「第3回目の協議会では、32カ所のうち残り13カ所について、現在の取り組み状況を共有するとともに、対応方針について議論する。今後、具体的な安全対策を進めていくためには関係者の連携が何よりも重要」と述べ、活発な議論を要請した。
県内の第4種踏切の状況は、宇都宮市が1カ所(JR東日本大宮支社1カ所)、足利市が1カ所(JR東日本高崎支社1カ所)、日光市が9カ所(JR東日本大宮支社5カ所、わたらせ渓谷鐵道4カ所)、小山市が17カ所(JR貨物17カ所)、那須烏山市が1カ所(JR東日本大宮支社1カ所)、茂木町が1カ所(真岡鐵道1カ所)、高根沢町が2カ所(JR東日本大宮支社2カ所)の、合計32カ所となっている。
このうちJR貨物が管理する小山市の17カ所は、JR小山駅から東光高岳の小山地区までの全長4.8kmの専用線に設置され、同社から大型変圧器を輸送する際の年に数回のみ利用される。使用される際は、電車の通過速度も極めてゆっくりで、各所に誘導員を配置するなど、運行時は十分な安全性が確保されている。
また、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線の峯踏切(日光市)は、隣接土地所有者である民間企業の私道に設置され、通常時は施錠され一般者は通行できない。通行の際は安全確認のため係員を配置するほか、今回の協議で踏切横断の事前連絡体系を構築することから、これら18カ所については十分な安全性が確保されたとして、今後も引き続き運行時の安全対策を徹底することとした。
JR東日本高崎支社が管理するJR両毛線の町南一号踏切(足利市)は、県の実施する中橋の架け替え事業に伴い周辺の踏切も含めた統廃合の調整が行われ、廃止する方針となっている。このため協議会の対応方針も廃止とし、廃止時期は今後の事業の進捗により未定とする。
これらを除いた残る13カ所の第4種踏切は、その周辺の土地利用状況も様々で利用者や利用頻度も大きく異なるほか、迂回路となる第1種踏切が付近に無いか、あってもその距離が様々であるなど地域の実情がそれぞれ異なる。
今回の協議会では、「廃止は利用者の利便性低下に対する懸念もあり、地域住民と十分な議論が必要」や「地元住民の利用状況を把握しきれていない」、「第1種化は設置の必要性の整理や維持管理コストの問題がある」など、継続的な地元関係者との協議の必要性が示された。
このため、対応方針としては「引き続き、関係者と協議を実施」とするほか、踏切利用者への当面の啓蒙活動として注意喚起チラシのひな形を協議会で作成し、個別踏切毎に適した情報に修正して、地域住民へ啓発を行うこととした。
協議会は今後、25年度に第4回協議会を実施して、協議の進捗状況を確認するとともに対策のフォローアップを実施する。第4回以降も協議会を年1回程度の開催を予定するほか、必要に応じて随時開催していく。
引き続き協議を実施する踏切は次の通り。(▽踏切名=[1]鉄道事業者[2]路線名[3]市町)
▽第一鹿沼街道=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]宇都宮市
▽貸切=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]日光市
▽室瀬=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]日光市
▽北原=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]日光市
▽第一和泉=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]日光市
▽正兵衛=[1]JR東日本大宮支社[2]日光線[3]日光市
▽旧祖母井街道=[1]JR東日本大宮支社[2]烏山線[3]高根沢町
▽第六文挾=[1]JR東日本大宮支社[2]烏山線[3]高根沢町
▽第一金井=[1]JR東日本大宮支社[2]烏山線[3]那須烏山市
▽瑞巌寺=[1]真岡鐵道[2]真岡線[3]茂木町
▽第2遠下=[1]わたらせ渓谷鐵道[2]わたらせ渓谷線[3]日光市
▽赤沢裏=[1]わたらせ渓谷鐵道[2]わたらせ渓谷線[3]日光市
▽第1田元=[1]わたらせ渓谷鐵道[2]わたらせ渓谷線[3]日光市