新校舎29年度から着工 栃木地区新校整備基本計画 概算事業費は約140億円(県教育政策課)
[2025/3/19 栃木版]
県教育委員会事務局教育政策課は、「栃木農業高・栃木工業高・栃木商業高新校」に係る新校舎等整備基本計画をまとめた。この計画は新校舎等の基本・実施設計の指針とするもので、それによると整備予定地は栃木商業高校の敷地で、ここに本館棟や実習棟、講堂兼体育館など計1万7656平方mを整備する。現段階でのスケジュールは、28~29年度に既存施設を解体し、新校舎は29~31年度、外構は31~32年度に施工する計画で、概算事業費は約140億円(税込み)を見込んでいる。
栃木農業高校と栃木工業高校、栃木商業高校は「第三期県立高等学校再編計画」に基づき、28年度に統合する予定とされている。またこの計画で統合新校は農業、工業、商業に関する学科を併置する未来共創型専門高校とするとともに、栃木商業高校の校地を主に使用することとしている。
再編に伴う施設整備は、統合新校の設置学科、募集定員など基本的枠組みのほか、栃木商業高校の敷地や施設の状況、他の県立高校の施設整備事例などを踏まえるとともに、既存施設の有効活用も考慮しながら県教育委員会事務局で具体的な内容を検討してきた。その結果、栃木商業高校の校地に校舎等を効率よく配置するため、実習棟の整備と併せて校舎や体育館を建て替える。
統合新校の基本的枠組みとして、設置課程と募集定員は農業に関する学科(生物生産系、食品加工系)が80人、工業に関する学科(機械系、電気系、電子情報系)が120人、商業に関する学科(商業系、情報処理系)が120人とする。
整備予定地は栃木市片柳町の栃木商業高校敷地で、敷地面積は約3万6000平方m。都市計画区域区分の設定があり、用途地域は第1種住居地域で、建ぺい率70%、容積率200%となっている。なお、農業に関する学科の実習は栃木農業高校の農場等を使用する。
統合新校の整備に当たっては、基本的枠組みに基づき県立高校としての標準的な施設を確保するほか、特に▽特色ある学校づくりを推進するための施設▽生徒の主体的な学習活動を支援するための施設▽専門的な実験・実習等の学習活動を支援するための施設▽地域産業と連携した学習活動を支援するための施設▽快適性やユニバーサルデザインに配慮した施設▽安全性を備えた施設▽時代の要請に柔軟に対応できる施設▽環境に配慮した施設▽景観に配慮した施設-の9点を踏まえて施設整備を計画する。
このうち「特色ある学校づくりを推進するための施設」では、少人数指導で使用する実習教室のほか、学科の枠を超えた幅広い視野で探究的に学べるような施設を整備する。「専門的な実験・実習等の学習活動を支援するための施設」では、実験・実習教室に安全に使用するための動作空間を有するように設備を配置でき、教材、教具などの収納や視聴覚機器の設置ができるような施設とする。「安全性を備えた施設」では、耐震性や耐浸水性等の防災性や、不審者の侵入防止等の防犯性など、十分な安全性を備えた安心感のある施設を整備する。
また、「時代の要請に柔軟に対応できる施設」では空間構成の変更や設備・機器等の更新が容易に行えるような柔軟性の確保や、維持管理のしやすさも含めた施設の長寿命化を考慮した施設を整備する。「環境に配慮した施設」では省エネルギー対策を徹底しZEB Readyを目指すとともに、再生可能エネルギーの導入や木材利用、高効率空調機器の導入など環境負荷の低減に配慮し、環境教育にも活用できる施設を整備する。
施設規模は、校地面積約3万6000平方mのうち建物敷地および駐車場等面積に約2万2500平方m、運動場面積に約1万3500平方mを配分する。建築物は、本館棟がRC造4階建て延べ8629平方m、実習棟がRC造2階建て延べ4786平方m、講堂兼体育館がRC造一部S造平屋2393平方m、武道場がRC造一部S造平屋400平方m、部室棟が木造2階建て延べ413平方mなど、計1万7656平方mとする。
本館棟には校長室、職員室、事務室、会議室などの管理諸室と理科室、音楽室、美術室、図書室などの特別教室、HR教室、講義室、大教室、文化部室などの普通教室他、情報処理室、総合実践室、簿記室、マーケティング室などの商業科実習室を配置する。
実習棟は、農業科の食品加工実習室や食品化学実験室、応用微生物実験室、コンピュータ教室など、工業科のNC加工実習室や機械加工実習室、電力実習室、電気工事実習室、プログラミング教室、コンピュータ教室、製図室などを配置する。体育館と武道場には、アリーナや器具庫、更衣室などをそれぞれ設ける。
配置計画は、運動場への日照や既存運動場の活用を考慮し、本館棟、実習棟、体育館などの主な建物は敷地北側を中心に、運動場は敷地南側に配置する。また各施設の連続性、一体性のほか、近隣の住宅への影響等にも配慮した配置とする。
整備スケジュールは、栃木商業高校の校舎など既存施設の解体で26年度に設計、28年度と29年度に工事を実施する。新校舎整備は、建築工事が25年度から27年度までの3カ年で設計、29年度から31年度までの3カ年で工事を実施するほか、外構工事も26年度に設計、31年度と32年度の2カ年で工事を実施する。なお、新校舎整備完了までは仮校舎(栃木農業高校舎および栃木工業高校舎)を使用して対応する。