鬼怒水道で耐震診断 新年度予算案 みぶ中泉地区造成に6億円(県企業局)
[2025/3/6 栃木版]
県企業局(小林宣夫局長)は5日、2024年度第2回経営評価委員会(委員長・大森宣暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)を開催し、25年度当初予算案の概要を説明した。新年度は県政の重点事項である脱炭素化やDXの推進に向けた取り組みを推進するほか、老朽化した発電所の改修や、機能を失えばシステム全体が機能しなくなる急所施設の耐震診断業務、壬生町みぶ中泉地区や足利市あしかが久保田地区の用地造成事業などを推進する。主な事業費は、今市発電管理事務所の集中監視制御装置更新工事に5億5055万円、浄水施設の耐震診断業務に1億6500万円、みぶ中泉地区用地造成事業に6億円などを計上している。
新年度予算案は、経営の基本原則「企業の経済性の発揮」と「公共の福祉の増進」に資するよう、率先してカーボンニュートラルやDXに向けた施策を推進するとともに、企業局の情報や魅力を積極的に発信するなどの点に留意して編成した。
収益的収支は、収益が92億9700万円、費用が80億5700万円で、損益が12億4000万円となる。資本的収支は、収入が32億4100万円、支出が65億1600万円で32億7500万円のマイナスとなるが、損益勘定留保資金などで補てんする。
事業会計別で見ると、電気事業は販売電力量に24年度から7.8%増の23万7200メガワット時を見込む。主な実施予定事業は、深山発電所全面改修事業に1億7618万円、今市発電管理事務所集中監視制御装置更新工事に5億5055万円、板室発電所主要機器更新等工事に3億3110万円、足尾発電所主要変圧器更新工事に1億1502万円、足尾発電所配電盤更新工事に5468万円などとなる。
このうち、施設の老朽化に伴う深山発電所の全面改修事業は20年度から事業に着手し、24年3月に発電を停止して現地工事を開始した。25年度は主要機器製作据付を実施して、11月の発電再開を目指す。
このほか、とちぎふるさと電気では環境保全事業などに対する支援で1億1829万円を、地域振興積立金ではSDGsの達成に資する事業などに対する支援で7000万円を、それぞれ電気事業会計から一般会計などに繰り出す。とちぎふるさと電気は、25年度末に東京電力エナジーパートナーとの契約が終了することから、公募型プロポーザル方式で入札を行い、公益性を発揮できる売電先を選定する。
水道事業は、年間供給水量に24年度と同量の北那須1087万7000立方m、鬼怒1104万4900立方mを見込む。工業用水道事業の年間基本供給水量も、前年度と同量の897万4620立方mで計画する。
主な実施予定事業は、北那須水道事務所で折戸調整池PCタンク内面塗装工事に1億6671万円、薬品沈殿池コントロールセンター盤更新工事に1億1162万円、受水地電磁流量計更新工事に5299万円、太陽光発電設備設置工事に7894万円を予算化する。
鬼怒水道事務所は、薬品注入設備更新工事に2億2000万円、太陽光発電設備設置工事に1億0764万円、浄水施設耐震診断業務委託に1億6500万円、送水管路耐震化基本設計業務委託に3000万円を計上。鬼怒工業用水道も、薬品注入設備更新工事に5800万円、太陽光発電設備設置工事に2363万円を盛り込んだ。
浄水施設耐震診断業務は、24年9月に国交省から急所施設の耐震化を早急に進めるよう通知が発出されたことから、25年度はまず鬼怒浄水場の施設を診断する。急所施設の中でも、重要度が高い浄水場内の施設を優先して診断する方針で、26年度は北那須や鬼怒工水の浄水施設を診断する。27年度は診断結果を踏まえた方針の決定と耐震化基本計画の見直しを行い、28年度以降に詳細設計や耐震化工事を実施する。
用地造成事業は、25年度に8.9haの分譲を予定し、壬生町のみぶ中泉地区用地造成事業に6億円、足利市のあしかが久保田地区用地造成事業に11億6200万円を計上している。
みぶ中泉地区用地造成事業は23年度に事業実施が決定し、24年度は用地取得のほか造成工事にも着手した。25年度は用地・補償費5900万円と工事費5億4100万円を確保して引き続き用地取得と造成工事を進め、予約分譲案内も開始する。予約分譲案内では、企業ニーズに応じ複数の区画パターンから選択できる「区画パターン方式」を採用。この方式による予約分譲をPRするため、PR費516万円も予算化する。
あしかが久保田地区用地造成事は、23年度に基本設計や地質調査などを実施し、24年12月に事業実施を決定して実施設計や用地調査を実施している。25年度は、用地・補償費11億2200万円と調査設計等委託料4000万円を計上し、地区計画の決定や用地取得などを進めて、26年度からの造成工事着手を目指す。
施設管理事業のうち、賃貸ビル事業は賃貸収益が24年度と同額の9214万円を見込む。主な実施予定事業は、県民ゴルフ場クラブハウスリニューアル事業に4972万円を計上。25年度は給湯設備を重油ボイラーから電気給湯器(ヒートポンプ)へ更新し、リニューアル事業を完了させる。