企業能力評価型を試行 総合評価の新・実施方針(東北整備局)

[2024/2/28 宮城版]
 東北地方整備局は、2025年度の総合評価落札方式に関する実施方針を示した。工事の新たな取り組みでは、企業の能力等のみを評価する「企業能力評価型」を試行するほか、企業の能力の地域精通度・貢献度で地域防災への協力体制として「家畜伝染病による防疫協定」に加点する。

 企業能力評価型は、比較的規模が小さく、かつ技術的難易度が高くない工事に適用する。評価項目では「技術者の能力等」を求めず、「企業の能力等」のみを評価する。試行導入の目的には、配置予定技術者の柔軟な配置や、施工経験が少ない技術者の育成を挙げている。

 試行に当たっては、若年齢にインセンティブを付与する「若手技術者育成タイプ」も地域の実情を踏まえ選択できるようにする。

 試行対象のタイプは施工能力評価型(II型)で、対象工種が一般土木、鋼橋上部、PC工事、維持修繕、橋梁補修、アスファルト舗装、電気設備、機械設備など。技術的難易度はI~II。各事務所で1~2件程度を試行する予定。

 企業能力評価型の参加申請では、配置予定技術者の申請に関する書類が競争参加資格に求めている要件のみとなるため、全体で約7割の書類削減となる。

 標準配点は別表の通り。手持ち工事量に関しては、企業能力のみの評価で会社規模(保有技術者数)による受注のかたよりを軽減するため、同局発注工事における当該年度の受注額と過去3カ年の受注額の割合において加算点措置を行う。若手技術者を配置する場合は、年齢や当該工事に従事する立場の相互組み合わせによる段階的な加算点措置を行う。

 地域防災への協力体制における加算点評価は、鳥インフルエンザや豚熱などの家畜伝染病の防疫活動で地域建設業者が活躍していることから、「家畜伝染病による防疫協定あり」の場合、施工能力評価型(II型)で0.5点を配点する。一方で、「消防団協力あり」は配点を1点から0.5点に見直す。

 総合評価の新たな実施方針ではこのほか▽配置予定技術者の施工能力の評価内容見直し▽技術提案評価型(S型)段階的選抜方式(一次審査)の評価項目の見直し▽若手技術者または女性技術者の配置の見直し▽ワーク・ライフ・バランス(WLB)等を推進する企業の取り組み評価の拡大──を実施する。

 配置予定技術者の評価見直しは「技術者の能力等」において、同種工事の実績における過去に携わった立場(監理技術者や現場代理人など)を評価しないことで、配点に差をつけないことにした。対象タイプは技術提案評価型(S型)と施工能力評価型(I型)。

 段階的選抜方式の評価項目の見直しは、「技術者の能力等」において、優良工事技術者表彰等や継続教育(CPD)の取り組み状況を評価項目に追加。全体の配点を見直した。

 若手技術者または女性技術者の配点の見直しでは、性別を問わない若手技術者の配置を促すため、「企業の能力等」の選択項目を「若手技術者(40歳以下)の配置」に見直す。対象タイプは施工能力評価型(I・II型)。

 WLB等に関しては、全ての工事を対象に企業の取り組みを評価する。これまでは一般土木工事A・B等級や建築工事A・B等級を対象とする工事に限っていった。

 新たな実施方針の適用は、WLB等が7月ごろで、それ以外は4月1日からを予定している。

業務は技術者の評価基準変更

 建設コンサルタント業務等に関する25年度の総合評価実施方針では、配置技術者の評価基準を見直すほか、WLB等を推進する企業の取り組みを全業務で評価する。

 配置予定技術者の評価基準は、現行において業務評定点点で評価しているが、4月1日以降は「技術者評定点」で評価する。

 これは、業務完了時における技術検査で、業務ごとに業務評定だけでなく各技術者に対し技術者評定を行っており、技術者の業務成績に「技術者評定点」の結果を活用できる環境が整ったことによる。

 WLB等の評価に関しては、これまで4000万円以上の総合評価やプロポーザルを対象としていたが、全ての業務に拡大する。適用開始は8月ごろになる見込み。

総合評価に新タイプ

 同局は工事と業務に関する総合評価の新たな実施方針について、27日に本年度の総合評価委員会(委員長・京谷孝史津北大学名誉教授)を開いて学識経験者に非公開で説明し、了承を得た。その際、情報提供として総合評価の新たなタイプ「技術提案評価型SI型」(仮称)の新設について報告した。

 SI型は工期、安全性、生産性、脱炭素化など価格以外の要素も考慮して総合的に価値の最も高い資材、機械、工法などを採用するよう努めるもの。国土交通本省が25年度からの試行開始を目標に掲げている。

 SI型は発注者が標準的な仕様を設定できる工事のうち、競争参加者の技術提案に基づく仕様や工法の変更により、さらなる品質向上(総合的に価値の最も高い資材等の採用を含む)が期待されるテーマを設定する考え。具体的には工期延期のリスク回避や安全性の向上、カーボンニュートラルへの貢献などを想定している。

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