公共事業費に751億円 高校再編で施設整備 県新年度予算案 グリーンスタジアムを改修

[2025/2/8 栃木版]

 福田富一県知事は7日、記者会見を開いて2025年度当初予算案を発表した。一般会計は9242億円で、前年度当初から86億円(0.9%)減少した。4年連続の減少となり、3年続けて1兆円の大台を下回っている。このうち投資的経費は、補助・直轄事業費が減少したものの単独事業が増加したことで、全体としては0.5%増の1358億円と、5年ぶりに前年度を上回った。新年度は、公共事業費に国補・県単・直轄をあわせて751億円を計上するとともに、特別支援学校の校舎等整備や第三期県立高等学校再編計画の施設整備を推進。「文化と知」の創造拠点はPFIアドバイザリー業務委託料で3カ年継続費を設定し、このほかグリーンスタジアムのスタンド改修や太田警察署庁舎の移転整備にも着手する。=2面に主要事業の概要

 記者会見で福田知事は、新年度予算案を「未来への種まき ぎゅーっとちぎ予算」と命名し、理由を「様々な分野で投資となる施策を多数盛り込んでおり、未来に花開く、本県のたくさんの可能性を県全体でぎゅーっと抱きしめ、大切に育ていきたいという思いを込めた」と説明した。

 新年度予算編成では、「政策経営基本方針」に基づき▽少子化対策と人づくり・女性活躍の推進によるとちぎの未来創生▽地域経済の好循環創出▽DXによる安全・安心で暮らしやすいとちぎづくり-の積極的な展開を図るとともに、「とちぎ未来創造プラン」や「とちぎ創生15戦略(第2期)」の総仕上げを図る。

 歳出面は、職員費や医療福祉関係経費などの義務的経費が全体の60.3%を占め、投資的経費は構成比14.7%の1358億円。河川改良復旧事業の減などで補助・直轄事業費が2.8%減の718億円となった一方、単独事業費は高校再編整備などの影響で4.6%増加の640億円となり、全体では5年ぶりに前年度を上回った。

 投資的経費のうち、国補公共事業費は前年度比3.4%減の547億円で、直轄事業費は3.4%減の53億円。災害復旧費は、前年度と同額の22億円を計上する。単独事業費のうち、県単公共事業費は前年度と同額の151億円。このほか、県庁舎等長寿命化推進事業費が32億円、県立学校施設長寿命化推進事業費が27億円、第三期県立高等学校再編計画施設整備費が15億円、子ども総合科学館大規模改修費が11億円など、大規模建設事業が事業費を押し上げた。

 特別会計は、就農支援資金貸付事業が51.3%減少する一方、中小企業高度化等資金貸付事業が49.8%増加するなど、9会計の総額は前年度から0.1%減の2179億4164万円となる。企業会計の資本的支出は、施設管理事業で67.7%、水道事で63.0%、電気事業で28.1%増加するなど、全会計で前年度を上回った。収益的支出も含めた6会計の合計は、13.3%増の289億4700万円となっている。

大田原警察署移転改築2カ年で設計

 新年度の主な事業は、重点事項「少子化対策と人づくり・女性活躍の推進によるとちぎの未来創生」に関連し、特別支援学校校舎等整備費に4億5808万円を予算化した。このうち、岡本特別支援学校で知的障害教育部門の新設に伴う新校舎整備に向けて668万円を計上するほか、富屋・今市・国分寺・足利中央・益子・南那須の各特別支援学校の校舎のバリアフリー化工事費には5452万円を予算化する。

 栃木と那須の各特別支援学校では、寄宿舎の解体工事費2億7901万円と、閉舎後の跡地を利用した食堂棟の整備に向けた実施設計委託料9002万円を計上。また、両校の生活訓練施設の改修に向けた設計には2784万円を盛り込んだ。

 「地域経済の好循環創出」では、奥日光地域アクセス新モビリティ導入検討事業費に2000万円を予算化した。自然豊かな奥日光地域へのアクセス強化に向けて、環境にも配慮した新たなモビリティ(乗り物・移動手段)の導入を検討するための調査を実施する。

 また、カーボンニュートラル推進事業費には23億6171万円を計上。このうち県庁率先脱炭素化事業では、学校も含めた県有施設のLED化の調査や設計、および工事費として13億8283万円を確保するほか、公用車のEV充電設備整備に1億3691万円や、県有施設に次世代型のペロブスカイト太陽電池を導入する経費3000万円などを配分する。

 「DXによる安全・安心で暮らしやすいとちぎづくり」では、インフラDX推進事業費に15億8884万円を予算化した。このうち、三次元点群データの利活用促進に向けては県単公共から6000万円を配分。視覚的でわかりやすい災害リスク情報を発信するほか、民間企業での利活用に向けたオープンデータ基盤を整備して、27年度の運用開始を目指す。

 地震被害想定調査等事業費は、県地域防災計画の見直しなど今後の地震防災対策に活用するため、建物・人的被害の予測調査や検討委員会の開催に要する費用として6272万円を計上するとともに、26年度まで限度額1560万円の債務負担行為を設定する。

 「とちぎ未来創造プラン」や「とちぎ創生15戦略(第2期)」の総仕上げでは、「文化と知」の創造拠点整備推進事業費に9113万円を予算化した。県立美術館・図書館・文書館を本県の文化振興の中核となる「文化と知」の創造拠点として一体的に整備するもので、新年度はPFIアドバイザリー業務委託料として27年度まで3カ年継続費1億5411万円などを計上する。

 第三期県立高等学校再編計画施設整備には、15億1541万円を盛り込んだ。各校統合費として、鹿沼商工・鹿沼南には建築工事費で3カ年継続費22億7683万円など、今市・今市工業・日光明峰には建築工事費で2カ年継続費5億2813万円など、栃木農業・栃木工業・栃木商業には設計委託費で3カ年継続費3億6986万円など、真岡北陵・真岡工業には建築工事費で3カ年継続費3億5819万円など、那須拓陽・那須清峰には建築工事費で2カ年継続費8295万円などを予算化している。また、中高一貫教育校の単位制導入に向けた改修の設計や工事費として、宇都宮東・小山・佐野・矢板東の各高校あわせて9414万円を計上する。

 グリーンスタジアム整備費は、企業版ふるさと納税の寄付金を活用して7億5000万円を予算化し、スタンドの個別席化やゴールポストの改修などを実施する。

 警察署庁舎整備費は太田警察署庁舎の移転整備に着手し、1億2208万円を予算化した。移転先は国道400号に面する大田原市若草1丁目の民有地約7384平方mで、新庁舎の規模はRC造4階建て3098平方m。総事業費約45億円を投じて、30年度の供用開始を目指す。新年度は地質調査や設計委託を予定し、26年度まで2カ年総額2億1118万円の継続費を設定する。

 県庁舎周辺整備検討事業は、1789万円を予算化した。県庁前の栃木会館跡地や宇都宮中央郵便局跡地の利活用に向け、公募による事業者の選定を行うため、新年度は事業者選定アドバイザリー業務として26年度まで2カ年総額2196万円の継続費を設定する。

 県土強靭化プロジェクトでは、緊急防災・減災対策事業費に30億円、耐震改修等促進事業費に1億7202万円、県立学校施設長寿命化推進事業費に27億0442万円を確保して、社会資本の整備・保全などのハード対策を推進する。このうち耐震改修等促進事業費は、民間住宅の耐震診断の助成に1450万円、耐震改修の助成に8972万円、特定建築物の耐震改修の助成に6592万円などを配分する。

 また県立学校施設長寿命化推進事業費は、校舎等の長寿命化に高等学校が宇都宮青陵高校ほか19校で22億4502万円、特別支援学校が聾学校ほか6校で4億0439万円と、トイレの洋式化が益子芳星高校ほか11校で5500万円を予算化している。

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