リース方式で市場を再整備 事業者選定に着手へ(千葉市)
[2025/2/5 千葉版]
千葉市は、老朽化した地方卸売市場(美浜区)の再整備に向け、事業者の選定に着手する。2025年度地方卸売市場事業特別会計予算案では再整備事業に1億円を計上するとともに、事業者選定に向けたアドバイザリー業務で限度額5300万円の債務負担を設定。リース方式を採用し、延べ5万2400平方m規模に建て替える計画で、整備費は335億円を概算している。
取扱量の推移を踏まえ、適正規模に施設をコンパクト化するとともに、適切な温度管理・衛生管理が可能な施設に再整備する。市場運営を継続しながら、ローリングによる現地建て替えを進めていく。
施設規模は、青果棟2万6900平方m、水産棟1万4500平方m、管理事務所などを含む関連棟1万1000平方mの計5万2400平方mを想定。現施設と比べると、延床面積が28%減少する見込みだ。
工期や実現性、市場の敷地、余剰地の利便性など複数案を比較検討し、再整備のゾーニング案をとりまとめた。青果ゾーン、水産・関連ゾーン、余剰地を明確にし、効率的な土地利用を目指す。
施設のコンパクト化に伴い、新たに創出される余剰地は、民間事業者が活用可能なエリアとする。流通機能のほか、賑わい機能の導入なども含め、事業者との対話を通じて、具体的な活用方法を検討していく。
事業手法として、従来方式、DBO方式、BTO方式、リース方式を比較検討。定性的・定量的な評価を実施した結果、財政支出削減率が最も高く、整備期間の短縮も期待できる「リース方式」を採用する。
この方式では、敷地の所有権を持つ市が、民間事業者と事業用定期借地契約を結び、民間事業者が市場施設や民間活用施設を整備し維持・管理する。市場の運営は市が担うため、リース契約を締結し、借り上げた施設を市場事業者へ提供する。
40年間の事業費として、リース方式の場合、整備費335億円、維持管理費197億円など計749億円を概算している。
事業スケジュールは、ローリング工事の工程が大きく影響するため、要求水準書の作成と並行して事業者対話の中で精査し、整備期間の短縮を目指す。おおむね12年程度を想定している。
市場の基幹機能である冷蔵倉庫などの一部施設は、特に老朽化や機能の陳腐化が著しいため、再整備事業に先行して整備する方針。民間活力を導入することで、さらなる歳入増加・歳出削減を目指す。
民間活力導入可能性調査業務は日建設計総合研究所・日建設計コンストラクション・マネジメント共同企業体が担当。
再整備事業の担当者によると、25年度は事業者選定に向けたアドバイザリー業務のほか、測量などを進めていく考えを示している。