投資的経費が1.8倍 校舎解体し体育館新築へ(宮城県 気仙沼市)
[2024/2/1 宮城版]
気仙沼市の菅原茂市長は1月31日、記者会見を開き2025年度の予算案を発表した。一般会計は前年度比11%増の415億8276万円で、このうち投資的経費が同77.1%増(約1.8倍)の29億3396万円となった。主な増額要因は新庁舎の建設事業費が約11億円増えたことなど。新規では気仙沼中学校の屋内運動場改築事業として、用地確保に向けた西校舎の解体設計費を盛り込んだ。
気仙沼中学校の屋内運動場改築事業は、ほぼ使用していないRC造3階建て延べ1781平方mの西校舎を解体撤去し、跡地に新しい体育館を建てた後、既存の体育館を解体撤去する。新しい体育館は現時点で1000平方m程度を想定している。
25年度予算案には解体設計費を計上しているが、金額については市議会2月定例会の開会後に明らかにする。全体の事業期間は5年程度かかる見込み。既存の体育館はRC造2階建て延べ1781平方mの規模。
25年度の新規事業はこのほか、津波避難誘導標識等設置事業に1000万円、就労環境改善推進事業に3499万円を計上した。
津波避難誘導標識は、25年度に海水浴場や気仙沼大島ウェルカム・ターミナルなど観光施設の11カ所に設置する予定。26年度以降も継続して設置する。就労環境改善推進事業は、就労環境の改善に取り組む企業からの相談に幅広く対応するため、相談窓口「気仙沼JOB BASE」を設ける。
新規以外では、新庁舎の建設事業に13億8479万円、道路整備事業に約1億8000万円、ごみ処理施設延命化事業に2億3578万円、中集会所の改築工事費に7918万円、防災重点農業用ため池緊急整備事業に4830万円、緊急浚渫推進事業に2600万円を充てるなどした。
このうち新庁舎建設事業は、新庁舎の新築工事について1月30日に一般競争入札を開札し、西松建設(北日本支社・仙台市青葉区)が落札しており、今後に同社がJVを組むことになっている。市議会2月定例会で工事請負契約議案が承認されれば着工し、2027年10月29日までの工期で施工する。
道路整備事業は、新一般廃棄物最終処分場の周辺整備による道路改良が約1億2000万円で、残る約6000万円を福美町2号線の道路改良工事費や、長畑開拓線他1路線の詳細設計業務委託費、通学路の点検業務委託費に配分する。
委託費や補助金関係では、庁舎跡地活用検討事業に920万円、空家等対策計画策定業務に1404万円、浄化槽設置補助金に3815万円を盛り込むなどした。
このうち庁舎跡地は、市庁舎の移転後に民間活用を前提に検討する。市としても子どもの遊び場や交流の場の確保を検討するとともに、現庁舎周辺の地形測量などを行う。
予算案は来月7日開会の市議会2月定例会に提出する。
道路・橋梁に3.7億円 2月補正予算
同市は、24年度の2月補正予算案を明らかにした。一般会計は40億0528万円を追加し、総額を514億7652万円とする。主な事業費は、道路新設改良事業に3億7330万円、亀山園地整備事業に1億8691万円を計上したほか、市営住宅基金の積立金に24億1375万円、庁舎建設基金の積立金に3億0051万円を充てた。
このうち、道路新設改良事業は国の社会資本整備総合交付金を活用し、小鯖鮪立線、津谷風越線、片浜石甲線、宿明戸線の道路改良や、栢の木橋、一本杉橋、夏焼橋、新町裏橋の橋梁補修を行う。
一般会計以外では、水道事業会計の建設改良費に4億3359万円、簡易水道事業会計の建設改良費に3277万円を追加した。
総合評価で加点積極的に考える 就労環境改善を認定へ
菅原気仙沼市長は、25年度予算の重点項目に人口減少対策の「Well-being」(ウェルビーイング)を目指すことを挙げた。その中でワーク・ライフ・バランスなどの就労環境改善に取り組む企業の認定制度を市で作る意向を示した。認定企業について菅原市長は、工事入札の総合評価で加点することを「積極的に考えている」と述べた。
市が認証制度を作る理由には、国の「えるぼし」や「くるみん」といった認証制度があるものの、市の事業所の規模や現状を考えた場合、国の認証が簡単に取れないことを挙げ、まずは市の認証を取得してもらい、そこから国の認証取得へとつなげていく考えを示した。
市は昨年5月に「~こどもと女性の瞳が輝く~けせんぬまWell-beingプラン2024」を定めており、子育て環境のさらなる充実に向けた施策として、「多様な交流と遊びの場(屋内外の大型公園)の創出を目指した取り組みの実施」などを盛り込んだ。