新年度に基礎調査 奥日光地域 新モビリティの導入検討で(県交通政策課)

[2025/1/28 栃木版]

 県交通政策課は27日、県庁で第1回「奥日光地域における持続可能な地域づくり検討会」(座長・石崎浩県交通政策課長)を開催した。今回は第1回の開催となることから、検討会の設置の目的を構成員で共有し、今後の進め方を事務局から説明した。検討会では奥日光地域の持続可能な在り方や新たなモビリティに関する検討を行う予定で、今後は2025年度早期に「奥日光地域アクセス新モビリティ導入検討調査」を委託し、どのような新モビリティが地域課題の解決に役立つのか検討するための基礎調査を実施する。

 この検討会は、奥日光地域の持続可能な地域づくりに向けて現状把握と課題抽出を行い、関係者が連携して環境に配慮した今後の持続可能な奥日光地域の在り方を検討するもの。県から県土整備部の交通政策課や日光土木事務所、総合政策部の地域振興課など関係各課と、日光市の総合政策課や都市計画課など関係各課、および地域の公共交通や観光にグループ全体で広く携わる東武鉄道が参画する。

 議事に先立ち、事務局を代表して県交通政策課の石崎課長は「奥日光地域は多数の魅力的な地域資源を有する地域だが、一方で行楽シーズンの交通渋滞は観光周遊の妨げになっており、また地域住民や観光業者にとってもいろは坂を使う日々の移動は大きな負担になっている。また近年では、物流や公共交通ドライバーの不足も顕著化している」と指摘した。

 さらに「なにより世界に誇る豊かな自然環境を将来に引き継いでいくためには、環境に配慮した取り組みを強化していかなければならない。これらの課題を解決し、持続可能な地域にしていくためには、地域にやさしい新たなモビリティを導入し、奥日光地域への人や物の流れを円滑化することが重要」と検討会の主旨を説明し、「持続可能な地域の実現に向けて、環境・交通・観光・地域振興など様々な視点から関係者が連携して取り組むことが必要」と述べて活発な議論を求めた。

 検討会は、自然豊かな奥日光地域へのアクセスを自動車に頼らずに強化していくため、環境に配慮した新たな公共交通システムの導入などに取り組むよう設置した。具体的な検討事項は、まず奥日光地域の現状と課題を抽出し、それを踏まえて奥日光地域の持続可能な地域のあり方を検討していく。地域課題の解決に当たっては、人や物の流れを円滑化していくことで地域を持続可能なものにしていくようを議論し、それに関する新たなモビリティを関係者で検討する。

 今後のスケジュールは、県の25年度当初予算案が県議会で議決されたあと、25年度のなるべく早い時期に県から「奥日光地域アクセス新モビリティ導入検討調査」を委託する。

 業務の内容は、観光シーズンの交通渋滞、いろは坂による日々の移動の負担、近年の物流ドライバーや公共交通の運転手不足、さらには国立公園内ということでカーボンニュートラルの実現など様々な地域の課題を解決するため、人流や物流の状況を把握・分析し、どのような新モビリティが地域課題の解決に役立っていくのかの検討に向けた基礎調査を実施する。

 その後の進め方は、調査の状況も踏まえて国や地元関係者なども含めた議論に拡大しながら、実現に向けて必要となる検討や調整を進めていく。

 なお、県では新モビリティについて、現時点ではいろは坂の車に代わる新たなモビリティを想定している。イメージは日光市細尾地区のいろは坂起点周辺から、いろは坂終点の東武バスのロータリー付近を想定しているが、区間や新モビリティの内容は具体的には決まっていないとしている。

 検討会の構成員に東武鉄道が入る理由として同課は、日光市内に東武日光駅を有し、バス交通も東武グループの日光交通のほか東武バスも複数路線を有し、さらに遊覧船も東武興業が運行するなど、この地域の交通事情に精通する交通事業者の代表として意見を聞くためと説明した。

 なお、日光地区の交通渋滞対策ではこれまでも、2社1寺周辺の臨時駐車場の設置や日光道を利用するバス路線の見直し、清滝ICから細尾大谷橋間の多車線化、中宮祠の渋滞対策、竜頭の滝入口の交差点改良および竜頭の滝の臨時駐車場設置などに取り組み、23年度からは奥日光地区で自動運転バスの実証実験も実施している。

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