再評価の継続「妥当」 県公共事業評価委 宇高BPに64億円増額
[2025/1/22 栃木版]
県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は21日、県庁で2024年度第3回の委員会を開き、事業の再評価と事後評価を行った。再評価は、県土整備部所管の道路事業が国道408号宇都宮高根沢バイパス工区など3件、街路事業が宇都宮都市計画道路3・2・101号大通り外1路線の1件、河川事業が一級河川杣井木川の1件で、全案件を個別審議。宇都宮高根沢バイパスは全体事業費の見直し、その他の案件はいずれも事業期間と全体事業費の見直したが、委員会は事業継続を「妥当」と判断した。このほか、事後評価で農地整備事業1件を報告した。
都計道大通りは29年度完了へ
県は、事業採択後一定期間が経過して未着工の事業や、再評価実施後一定期間が経過している事業、または社会経済情勢などの急激な変化、技術革新、事業計画の大幅な変更などで再評価の必要が生じた事業などで、再評価を行っている。その際に、事業計画に大幅な変更があるものや推定便益・推定事業費の変更がプラスマイナス10%を超える事業などについて重点的な審議(個別審議)を実施している。
今回審議した国道408号宇都宮高根沢バイパスと国道293号二宮拡幅、国道400号新富町工区、および杣井木川は前回評価時から推定便益や推定事業費の変更が10%を越えるため、都計道大通り外1路線は前回評価時から推定便益の変更が10%を越えるため、それぞれ個別に審議した。
国道408号宇都宮高根沢バイパス工区は、宇都宮市野高谷町から高根沢町宝積寺までの延長6600mについて、高規格道路「常総・宇都宮東武連絡道路」の一部を構成する広域道路として27年度の事業完了を目標にバイパスを整備を実施している。
今回の再評価では、全体事業費を64億円増額して、347億円に変更する。全て工事費の増額で、内訳は建設資材や労務単価の高騰による工事費の増額が37億円、週休2日制工事やICT施工に伴う工事費の増が21億円、常設足場の追加に伴う工事費の増額が2億円、地盤改良工の固化剤の変更に伴う工事費の増額が4億円となる。
このうち、常設足場に関しては宇都宮高根沢バイパス3期工区のJR宇都宮線跨線橋の橋桁を囲むように設置することで、橋梁の定期点検や維持管理を円滑に実施できるように、また将来の維持管理費を低減するために計画する。地盤改良工の固化剤は、当初計画していた汎用のものから、六価クロムを抑制するものに変更した。
国道294号二宮拡幅も高規格道路「常総・宇都宮東武連絡道路」の一部を構成し、真岡市久下田地内から寺内地内までの延長4100mで4車線化を図っている。20年度から用地調査や用地取得、21年度から工事に着手し、現在の進捗率は事業費ベースで54%(うち用地補償費100%)となっている。
今回の再評価では用地取得に時間を要したことから、事業期間を当初の25年度までから27年度まで2カ年延伸する。また全体事業費も、工事費で14億5000万円、用地補償費で2億5000万円の計17億円増額する。
工事費の内訳は、建設資材や労務単価の高騰による工事費の増額が5億円、週休2日制工事やICT施工に伴う工事費の増が3億5000万円と、拡幅に伴う横断歩道橋の架け替えが3億円、側道となる認定外道路と歩道との間の擁壁設置が3億円。用地補償費は、物件調査の結果で補償費が増額となったことから追加する。
国道400号の新富町工区は、大田原市の中心市街地で歩行者や自転車の通行が多いにも関わらず歩道が未整備で、また神明町交差点には右折レーンが無く朝夕を中心に交通渋滞が発生していることから、延長800mにわたって拡幅改良と無電柱化を実施している。
今回は、事業期間を当初の27年度までから4年延伸して31年度までとするほか、全体事業費も見直して7億円を追加し、32億円とする。事業期間の延伸は、市街地のため沿道に住家が連担し、用地取得に期間を要しているため。
事業費は、工事費が建設資材や労務単価の高騰により2億3000万円、週休2日制工事やICT施工に伴い2億2000万円の、計4億5000万円を増額。用地補償費は、用地調査を実施し補償費を精査した結果、2億5000万円を増額する。
宇都宮都市計画道路3・2・101号大通り外1路線は、駒生工区、桜工区、駒生町I工区、駒生町II工区の計3374mの街路事業で、このうち駒生工区は17年度に事業を完了している。
再評価では、総事業費に10億8000万円を追加して177億3000万円に見直したほか、残る3つの工区の事業期間を29年度まで延伸する。事業費については、建設資材や労務単価の高騰で工事費を7億5000万円、また用地補償費も建設資材の高騰により3億3000万円増額する。
事業期間は、桜工区が横断歩道の架け替えに伴う追加の用地取得や電線地中化の事業者との調整に期間を要するため、24年度から5カ年延伸する。また、駒生町I工区は公図混乱の影響で同じく5カ年延伸し、駒生町II工区は境界確定に時間を要するため26年度から3カ年延伸する。
一級河川杣井木川は、流域が巴波川と永野川に囲まれていて豪雨時に浸水被害が発生しているため、永野川合流点の排水機場を増設するとともに調節池の整備を進めている。これまでに排水ポンプの増強が完了し、このあと調節池と高台の整備を残している。
今回の再評価では、調節池計画箇所の地下水位を調査したところ調節池の底面よりも高く、地下水への対策が必要になると判明。このため、調節池の面積を拡げて容量を確保することとし、設計変更に時間を要することから事業期間を当初の26年度までから2カ年延伸し、28年度の完了を目指す。あわせて総事業費も見直し、10億2000万円を追加して33億2000万円とする。
内訳は、工事費が建設資材や労務単価の高騰により8億2000万円、調節池の形状変更により1億1000万円増額する。一方、調節池の形状変更に伴い発生する建設発生土は、巴波川の堤防に沿って実施する高台盛土に現場内流用することから1億3000万円が減額され、差し引き8億円増加する。用地補償費も、取得面積が拡がったことから2億2000万円を追加する。
事後評価は、農地整備事業の県営農地整備事業益子西部地区について、事業の整備効果を報告した。益子西部地区は、益子町塙、益子、北中、七井、東田井地内を対象に108.7haの区画整理を実施し、生産基盤の整備による農作業の省力化・効率化と、担い手への農地集積による経営規模の拡大、また暗渠排水の整備による水田の汎用化を図った。