最大10年程度で開館へ 「文化と知」の創造拠点整備構想 事業手法は今後検討(県総合政策課)
[2025/1/16 栃木版]
県総合政策課は15日、「文化と知」の創造拠点整備構想を策定し公表した。それによると、整備地は宇都宮市中戸祭1丁目の県立体育館跡地とし、諸室の規模は美術館が約1万5000平方m、図書館が計約1万8000平方m、文書館が約3000平方mを目安とする。事業手法は、設計・建設・維持管理・運営について直営や指定管理、PFIなど、様々な手法から今後詳細に検討していく。整備全体のスケジュールは、現時点で計画・設計を3~5年、工事を3~4年で実施し、半年から1年の開館準備の後に開館すると想定している。
県立美術館、図書館および文書館は、県民の学びや創造を支える重要な役割を担う一方、特に美術館と図書館は開館から50年以上が経過して、建物や設備の老朽化が進行している。また文書館も加えた3施設は、バリアフリーへの対応や収蔵能力の確保、デジタル化など機能面での課題も生じている。
そこで県は、美術館、図書館、文書館を本県の文化振興の中核として再整備し、とちぎの「文化と知」の継承や、新たな「文化と知」の創造等を通じて地域活性化にもつながる拠点となるよう、整備構想を策定した。
整備構想によると、コンセプトは、「とちぎの『文化と知』を開く・つなぐ・育む拠点」と位置付け、「開く」では誰もが気軽に利用しやすく、「つなぐ」では3施設の連携強化や相互利用の促進を図り、「育む」では新たな「文化と知」を生み育む場となることなどを目指す。
整備地は、県内各地からのさまざまな交通手段によるアクセスに優れ、中心市街地に近接してまとまった県有地である、宇都宮市中戸祭1丁目の県立体育館跡地とする。敷地面積は3万3630平方mで、東側は国道119号、北側は市道22号線、西側は市道1799号線に面するなどアクセス性にも優れる。
立地環境としては、直線距離でJR宇都宮駅から約3km、東武宇都宮駅から約2km、開通予定の(仮称)大谷スマートICから約10分に位置するほか、LRTのJR宇都宮駅西側延伸により、桜通り十文字付近は停留場の設置による交通結節点としての役割が予定されており、整備地へ向かう路線バスへの円滑な乗換えが可能となるなど、アクセス性の向上が予想される。
敷地計画は、基本理念とコンセプトを踏まえるとともに、周辺環境や経営環境の調和に配慮した敷地利用を行う。また十分な駐車場台数、駐輪場台数および大型バス駐車スペースを確保するとともに、充電設備の整備も検討する。
施設計画では、基本理念とコンセプトを踏まえるとともに、県産の材料や伝統工芸品などの活用で「とちぎらしさ」が感じられる施設整備を行う。延床面積の目安は約3万平方mから3万6000平方mと試算し、高さは、管理・運営上の利便性やバリアフリーの観点から水平移動を基本とした階層設定とする。
また、3施設の固有スペースを確保しつつ拠点としての共有スペースを設けるなど一体的に整備し、設備やスペースの合理化を図るとともに相互利用・相互交流を促進して、拠点としての魅力や機能を充実させる。
諸室の考え方は、美術館が収蔵庫や常設展示室、企画展示室、ワークショップ室など計約1万2000~1万5000平方mとし、図書館が閉架書庫、資料整理室、開架エリア、閲覧エリア、業務エリア、講堂、学習室など計約1万5000~1万8000平方m、文書館が収蔵庫や展示室、閲覧室、研究室など計約2000~3000平方mを目安とする。このうち各館のエントランスホールやショップ、レストラン、執務室、会議室、設備機械室などは独自の諸室ではなく、拠点として共用することを想定する。
事業計画は、設計、建設、維持管理や運営について従来型(直営)、指定管理、PFI(BTO型)、コンセッションなど様々な手法が考えられることから、各施設の機能と役割の特性などに基づく定性的に比較するとともに、事業費に係る定量的な比較を行い、事業手法について総合的に判断する。
今後については、開館に向けて施設整備計画や管理・運営計画、事業手法について引き続き詳細に検討する。整備全体のスケジュールは、現時点で計画・設計を3年から5年、工事を3年から4年かけて実施し、半年から1年の開館準備の後にオープンすると想定している。