[2025/1/15　栃木版]

　県河川課は12月補正予算の可決を受けて、追加分の主要事業箇所をまとめた。国庫補助と交付金をあわせ、6事業31カ所に合計70億9200万円を予算化している。このうち一部を起債の償還に充てるとともに、引き続き令和元年東日本台風で被災した河川の改良復旧で、田川の川田調節池の掘削や越流提、永野川の千部橋の床版工、巴波川の流入施設建設工事などに事業費を重点的に配分する。このほか、田川の上流部では宮本橋の改築など、鹿島川は雨水函渠工などを発注。江川(鳥山)喜連川では金枝中橋の橋梁詳細設計、荒川(塩谷)は樋管詳細設計、菊沢川は河道詳細設計や函渠工詳細設計の発注を予定する。

　事業費の内訳は、河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)が2億5000万円、大規模特定河川事業(補助)が8億9500万円、河川メンテナンス事業が4400万円、安全な川づくり事業41億4300万円、改良復旧事業が17億6000万円となっている。

　このうち激特事業は、巴波川の地下捷水路工事で流入施設の発注済みの矢板護岸工の債務に充当する。この事業は、栃木市の市街地の地下に延長約2.4kmの捷水路(トンネル)を整備するもの。流入施設建設工事は、延長82mの鋼矢板打設工で、舘野・大澤特定JVが担当している。

　大規模特定河川改修のうち、武子川の深津工区には4億7500万円を追加して、JR日光線橋梁の架け替えや施工ヤードの借地を進める。この工区はJR東日本と24年1月に基本協定を締結し、同社から工事をユニオン建設(本社・東京都)に発注している。

　また、巴波川は地下捷水路の完了によって流量が増えることから、流出施設の下流側で河川改修を実施している。今回の補正では2億7000万円を配分し、樋門や掘削、築堤、護岸を実施する。

　防災・安全交付金の重点事業では、田川の河道掘削や調節池整備で、一部発注済みの県債の償還に充てるほか、今回の補正で新たに川田調節池の掘削や越流提の工事を発注する。川田調節池については、未買収地を除いて暫定供用しても調節池の機能を発揮できるよう施工計画を見直した。

　このほか、思川の深程工区は小倉橋の上流で堤防の嵩上げや河道の拡幅、河道の掘削、および流水の阻害となる堰などを改築する計画で、このあと築堤を発注。田川の日光市土沢地内では、市道橋の宮本橋の改築や掘削、護岸工事を発注していく。

　江川(鳥山)喜連川では、ほ場整備と併せた河道拡幅を進めており、このあと金枝中橋の橋梁詳細設計などを発注する。鹿島川は、大田原市の市街地に調節池(上流・下流)を整備しており、雨水函渠工などの発注を今後予定する。

　荒川(塩谷)の三箇工区の河川改修は、藤田橋から青雲橋までの約3800mで築堤や護岸、樋管改築などを実施する計画で、樋管詳細設計などを実施する。菊沢川の河川改修は、国道50号沿線開発事業(新産業団地整備)と連携して事業を実施しており、このあと河道詳細設計や函渠工詳細設計の発注を予定する。

　改良復旧事業は17億6000万円を予算化し、このあと永野川の千部橋の床版工(PC床版)や迂回路撤去工、旧千部橋撤去工などを発注する。

　補正で追加された主な事業実施箇所は次の通り。(▽河川名(市町名)＝[1]予算額(単位・万円)[2]事業内容)
【河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)】
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)＝[1]2億5000[2]流入施設(矢板)
【大規模特定河川事業(補助)】
〈宇都宮土木〉
▽姿川〔大谷〕(宇都宮市)＝[1]2000[2]物件補償(NTT)
〈鹿沼土木〉
▽武子川(鹿沼市)＝[1]4億7500[2]JR日光線武子川橋梁架替、施工ヤード借地
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)＝[1]2億7000[2]樋門、堀削、築堤、護岸
〈安足土木〉
▽名草川(足利市)＝[1]1億3000[2]用地補償、物件調査、掘削、護岸
【河川メンテナンス事業】
〈宇都宮土木〉
▽江川放水路(宇都宮市)＝[1]2200[2]分流堰操作装置更新
〈栃木土木〉
▽杣井木川排水機場(小山市)＝[1]2200[2]水位計およびポンプ設備更新
【安全な川づくり事業費(防災・安全交付金〔重点〕)】
〈宇都宮土木〉
▽田川(宇都宮市)＝[2]河道堀削、調節池整備(掘削、越流堤)
【安全な川づくり事業費(防災・安全交付金)】
〈河川課〉
▽県内＝[2]危機管理型水位計更新
▽県内＝[2]浸水想定区域図GIS掲載
〈宇都宮土木〉
▽武名瀬川(上三川町)＝[2]7号町道橋上部工(プレテンション方式PC単純床版橋)、境橋迂回路撤去、掘削、護岸
〈鹿沼土木〉
▽武子川〔仁神堂〕(鹿沼市)＝[2]堰詳細設計
▽小藪川〔楡木〕(鹿沼市)＝[2]掘削、護岸
▽思川〔深程〕(鹿沼市)＝[2]築堤
〈日光土木〉
▽田川〔上流〕土沢(日光市)＝[2]河道設計、掘削、護岸、宮本橋改築
〈真岡土木〉
▽五行川〔本川〕(真岡市)＝[2]堀削、護岸
〈栃木土木〉
▽思川〔乙女網戸〕(小山市)＝[2]堀削
▽思川〔黒本飯塚〕(小山市)＝[2]物件補償(電柱)
▽思川〔惣社国分寺〕(栃木市)＝[2]測量
▽思川〔壬生都賀〕(栃木市)＝[2]測量、設計
▽巴波川〔大町〕(栃木市)＝[2]支障木伐採
▽永野川(栃木市)＝[2]用地測量
〈矢板土木〉
▽江川〔烏山〕喜連川(さくら市)＝[2]境目橋上部工(PC中空床版橋)、用地測量、橋梁詳細設計(金枝中橋)、護岸工
〈大田原土木〉
▽鹿島川(大田原市)＝[2]神明橋函渠工、物件補償(NTT)、雨水函渠工
▽熊川(那須塩原市)＝[2]掘削、護岸
〈烏山土木〉
▽荒川〔三箇〕(那須烏山市)＝[2]用地調査、樋管詳細設計、地質調査、掘削
〈安足土木〉
▽秋山川(佐野市)＝[2]堀削、築堤、護岸、大橋上下部工(2径間連続PB桁)
▽菊沢川〔船津川町〕(佐野市)＝[2]河道詳細設計、函渠詳細設計
▽姥川(足利市)＝[2]用地補償
▽旗川(足利市)＝[2]用地測量
【改良復旧事業】
〈栃木土木〉
▽永野川(栃木市)＝[1]17億6000[2]堀削、護岸、千部橋床版工(PC床版)、千部橋迂回路撤去工、旧千部橋撤去工