終末処理場の早期整備を 江戸川流域8市が熊谷知事に要望
[2025/1/10 千葉版]
江戸川左岸流域の8市は1月9日、県庁で熊谷俊人知事と面会し、県が建設中の江戸川第一終末処理場(市川市)の早期整備を求める要望書を手渡した。熊谷知事は、「みなさんと協力しながら全力で進めていきたい」と応じ、江戸川第一終末処理場の早期整備に強い意欲を見せた。2025年度は、水処理施設(第3系列)の整備を前倒しで進め、基礎杭打ち工事に着手する方針だ。
江戸川左岸流域の8市が県に要望活動を実施するのは、江戸川第一終末処理場が供用を開始する前の2017年度以来となる。
8市平均の下水道普及率は約86%と、都内や横浜市、川崎市などと比べても低く、その理由の一つとして終末処理場の整備の遅れが指摘されており、要望書では、第3系列以降の整備に必要な事業予算の確保や、将来汚水処理量に応じた段階的かつ計画的な整備を着実に進めることを求めている。
要望活動には、松戸市の本郷谷健次市長ら8市(市川・船橋・松戸・野田・柏・流山・鎌ケ谷・浦安)の首長や幹部職員が参加した。
県からは熊谷知事のほか、澤宏幸都市整備局長、横土俊之県土整備部次長らが対応した。
8市を代表してあいさつに立った本郷谷市長は、流域各市で、下水道普及率の向上が大きな課題となっていることを指摘し、「都市化はほぼ終わっているのに、江戸川第一終末処理場の整備はスタートしたばかりで、(第一、第二を含む)終末処理場の整備は7割くらいしか進んでおらず、いろんな課題が山積している」と危機感をにじませた。
これを受け、熊谷知事は、「いただいた要望は県にとっても重要であり、優先して取り組む事項だと考えている」と応じ、早期整備に向けさらなる協力を求めた。
江戸川第一終末処理場の敷地面積は約30ha。計画処理量は1日平均約20万立法m。放流先は旧江戸川。
計画される水処理全8系列のうち、第1系列が21年3月から供用され、第2系列については27年度の供用が予定されている。
1981年から供用している江戸川第二終末処理場の設備更新については、第一終末処理場の処理能力が確保できた段階で進める。
知事との懇談後、囲み取材に応じた本郷谷市長は、「第2系列の完成を待たずに、次の第3系列の整備に取りかかってほしい、もっと整備を急いでほしいという気持ちを込めて要望活動を実施した」と説明。「知事からは、第3系列の工事に前倒しで着手するなど、早期整備に向けて一緒にやりましょうと力強いことばをいただいた」と述べ、手応えを披露した。
野田市の鈴木有市長は、「流末の整備をしっかり進めないと、汚水を上から流すことができないので、先行して整備していってほしい」と期待を込め、市川市の田中甲市長は、「市が管理する菅野終末処理場の延命化など、市として協力できることがあれば検討していきたい」と話した。