料金改定と期間延伸 道路施策懇談会 日光道のあり方協議(県交通政策課)

[2024/12/26 栃木版]

 県交通政策課は24日、県庁で4回目となる県道路施策検討有識者懇談会(座長:根本敏則敬愛大学経済学部教授)を開催し、日光宇都宮道路の今後の管理・運営のあり方について協議した。県は大規模リニューアル事業で約28億円、維持管理業務で約187億3000万円の事業費増額を見込む一方、収支予測の結果、支出の見直しと料金改定、および料金徴収期間の延伸により将来的に償還が可能と見込み、今後、料金改定や料金徴収期間の延伸を詳細に検討していくと説明した。また今回はあわせて、今後目指すべき道路ネットワークの在り方を示す「とちぎの道強靭化ネットワーク」(仮称)を策定することも報告した。

リニューアルや維持管理の増額で

 議事の前に、県土整備部の星野晃秀次長は「現在、県道路公社が管理する有料道路の今後の管理運営のあり方を検討しており、前回は宇都宮鹿沼道路(さつきロード)の料金徴収の期間の方向性にご意見をいただいた。今回は日光宇都宮道路について意見をいただければ」と話し、各分野の専門的な立場から忌憚のない意見を求めた。

 引き続き、日光宇都宮道路(日光道)の今後の管理・運営のあり方について、その基本的な考え方や検討プロセスを議論した。日光道については第2回の懇談会で、有識者から料金設定の見直しや料金徴収期間の延伸の検討が必要と指摘されていた。

 日光道は東北自動車道宇都宮ICと直結する総延長は30.7kmの有料道路で、国際観光都市「日光」へのメインアクセス道路となる。料金徴収期間は、1976年12月25日から2034年5月19日までの57年間となっている。

 16年度からは、「大規模リニューアル事業」として橋梁・トンネルの大規模修繕や耐震化を実施しているが、人件費や資機材の高騰、および老朽化した設備の更新などの影響で、支出が大きく増加している。近年は単年度収支が赤字となっており、22年度末時点の償還金残高は約93億円となっている。今後も支出が増大傾向にあり、償還金残高は34年度に向けてさらに大きく膨らむと予想される。

 大規模リニューアル事業は、橋梁21橋の耐震化を計画し、これまでに15橋の工事が完了。また老朽化対策も、橋梁21橋とトンネル2本を計画し、これまでに橋梁14橋とトンネル2本の工事が完了した。今後、29年度にかけて残る7橋(耐震化と老朽化6橋、老朽化のみ1橋)の対策を推進する。

 事業費は、人件費や資機材の高騰に加え、橋梁耐震補強の技術基準改定などに伴い事業費が増大しており、想定よりも老朽化が進行している橋梁・部材の確認も必要となっているため、耐震補強については6億4000万円を増額して総額14億8000万円、大規模修繕は21億6000万円を増額して総額43億9000万円にまで膨らむと試算する。

 また維持管理業務は、有料道路の適切な維持管理に不可欠となる道路情報板やETC機器などの管理設備の更新が必要となっており、34年度までに維持費は177億8000万円を増額して総額288億7000万円、ETC管理機は9億5000万円を増額して40億3000万円になると想定している。

 将来交通量は長期的な傾向から現状を維持できると仮定したうえで、財政面を検討すると、大規模リニューアル事業に加えETC機器等の更新があり、20年度以降の支出が増大して償還金残高は増加すると予測する。

 このため、まずは支出の見直し縮減を検討し、安全・安心の確保を前提にしたうえで維持管理業務の見直しや設備の機器更新方法の変更などを行うことで、34年度の料金徴収期間満了までに約31億円の縮減を図る。また、29年度の大規模リニューアル事業完了後も償還金残高が増加傾向にあると見込まれることから、高騰する物価にあわせた適正な通行料金も検討した。

 料金改定の試算では、現行の普通車470円から仮に670円としたうえで、さらに割引も廃止して推計。その結果、大規模リニューアル事業が完了する29年度から償還金残額が減少傾向を示すことが確認され、あわせて料金徴収期間を延伸することで、将来的に償還が可能と予測した。

 これらの説明に対し、委員からは料金の見直しと料金徴収期間の延伸について賛同する意見が出た。今後は、本年度末に予定する第5回有識者懇談会に諮り、懇談会としての提言をまとめる。この提言をもとに今後の正式な方向性を決定する考えで、方向性が決まれば国土交通省との協議や県議会への説明などを進めていき、早ければ25年度中にも新料金や延伸期間が決定する見通しだ。

 この懇談会は、道路施策の検討にあたり客観性・透明性を確保するとともに、効率的で効果的な道路行政を推進することを目的に設置した。想定する案件は▽新広域道路交通計画の広域道路ネットワーク計画に位置付けられた路線で計画段階評価(構想段階)を実施する事業▽有料道路に関する国の許可手続きが必要な事業▽その他、担当課が有識者懇談会の意見を求めることが必要と判断する事業など-とする。

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