水道事業の統合基本計画案 建設改良費254億円 統合後に新庁舎整備へ(千葉県安房地域)

[2024/12/26 千葉版]
 千葉県安房地域の水道事業統合・広域化基本計画案が明らかになった。施設整備計画では、施設の再編や管路の更新など建設改良費254億4300万円を概算しているほか、統合後に新庁舎を整備する方向性が盛り込まれている。2025年3月にも基本協定を締結し、26年4月の統合を目指す。

 この計画案は、安房地域3市1町で構成する安房地域水道事業統合協議会でとりまとめている。計画期間は26年度から45年度までの20年間とする。

 将来的な水需要や施設の稼働状況などを踏まえ、優先的に実施すべき整備事業を精査した上で、実現可能な対策を講じていく。34年度までは、広域化に対する国の交付金が活用できるため、集中的に施設整備を進める方針だ。

 施設整備計画で施設の再編をみると、天津小湊エリアでは、整備してから60年以上が経過している奥谷浄水場を廃止し、石上配水場の給水区域に小湊区域を統合する。

 鴨川エリアでは、比較的小規模な浄水施設が複数あるため、受水地点を2カ所新設した上で、東町浄水場は保台浄水場の給水区域にすることで廃止する。

 鋸南富山エリアでは、整備後50年程度となる富山浄水場について、老朽化に伴う断水が発生しているため、受水地点を新設することで廃止する。併せて、給水区域間で連絡管を整備し、安定給水につなげていく。

 館山エリアでは、山本浄水場が大規模な設備更新の時期を迎えているが、原水の水質や基幹管路の耐震化などの課題があるため、施設の再編により廃止する。

 施設を再編するエリア以外の独立した水系となっている浄水施設や配水池については、連絡管を布設する計画。施設能力に余力がある小向浄水場については、館山市内に給水することでより一層の有効活用を図っていく。

 基幹管路の更新をみると、早急に耐震化が必要となっている管路があるため、国の交付金を活用して耐震化を進めていく。対象となる延長は4768mとなっている。

 このほか、統合後に新庁舎の整備を進めていく。新庁舎は災害対策本部や応援事業体などが活動する受援のためのスペース、非常用電源設備などを備えた庁舎とする方針だ。

 事業費は施設の再編や管路の更新、新庁舎の整備など建設改良費で254億4300万円を概算。このほか、施設の撤去に18億3500万円を見込んでいる。

 統合後の組織については、安房郡市広域市町村圏事務組合に水道部を設け、管理課、工務課、施設課を設置する。管理課には統合推進室を配置する予定だ。

 水道事業統合支援業務は日水コン(千葉事務所・千葉市中央区)が担当している。

 安房地域水道事業統合協議会は、館山、鴨川、南房総、鋸南の3市1町で構成し、事務局は安房郡市広域市町村圏事務組合の水道事業統合推進室が担っている。20年8月に締結した「南房総地域水道事業統合・広域化に関する覚書」に基づき、安房地域における水道事業の統合・広域化に向けて、協議・検討を進めてきた。

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