最大9.5mに施設目安高を引き上げ 海岸保全計画案を検討会で提示
[2024/12/20 千葉版]
県は、気候変動をふまえ「東京湾沿岸(千葉県区間)」と「千葉東沿岸」の2つの海岸保全基本計画の原案をとりまとめた。海面水位の上昇や高潮・波浪被害の増大が懸念されることから、海岸保全施設の整備に向け、海岸保全施設などの目安高を、東京湾沿岸は現行のTP(東京湾平均海面)3.4~7.1mから同3.1~9.5mに、千葉東沿岸は同4.6~6.7mから同5m~9.1mに引き上げる。年明けにもパブリックコメントを実施し、3月に国に計画書を提出する方針だ。
海岸保全基本計画では、海岸の保全に関する基本的な事項などを定めており、国の「海岸保全基本方針」改定(20年11月)をふまえ、それぞれの都道府県が策定する。本県では、県港湾課が「東京湾沿岸」を、県河川整備課が「千葉東沿岸」をとりまとめる。
海岸保全計画に伴う検討会も、「東京湾沿岸(内湾・内房)」と「千葉東沿岸」で別々に開催しており、海岸保全基本計画の原案は12月19日に開かれた、それぞれの検討会で示された。
主な変更点は、台風の強大化など気候変動をふまえ外力条件を設定し、複雑な地形などを考慮、幅を持たせた目安高を設定したこと。
施設整備の検討にあたっては、堤防などによる防護だけでなく、砂浜などによる面的防護があることを明文化したこと。
防護の目標は、約75年後の2100年を設定しているため、気候変動の不確実性などを考慮し、段階的に整備する方針を明文化したことの3点。
海岸保全施設などの目安高の範囲は、「高潮・波浪」と「津波」から防護する施設の高さを比較し、高い方を採用した。
「東京湾沿岸」検討会では、委員から「今後は地域振興へ向け市町とともに検討することが課題になる」との指摘があり、県港湾課からは、「(目安高の変更で)保全施設がかなり高くなる場所があるが、背後地のみなさんと意見を交換するなど、環境を保ちながら整備を進めていきたい」との発言があった。