印旛沼放水路の整備検討 利根川・江戸川河川整備計画の変更原案

[2024/12/17 千葉版]
 関東地方整備局は、利根川水系利根川・江戸川河川整備計画の変更原案をとりまとめた。田中調節池など洪水調節機能の強化に向け越流堤の可動化や、印旛沼を調節池として活用する放水路の整備を検討する方針を盛り込んでいる。2025年1月14日まで意見を募っている。

 利根川水系利根川・江戸川河川整備計画は2013年5月に作成、前回は20年3月に変更している。今回の変更は、今年7月に、河川整備の目標となる洪水時の流量などを定めた利根川水系河川整備基本方針が変更されたことをふまえたもので、基本方針では、洪水(基本高水)のピーク流量が、基準地点・八斗島において毎秒2万6000立方メートルに引き上げられた。

 そこで、変更原案では、今後30年間の整備の目標となる流量を、現行計画の八斗島基準・毎秒1万7000立方メートルから同2万1200立方メートルに引き上げる。このうち、河道では、計画高水位以下の水位で1万6300立方メートル程度を安全に流下させ、洪水による災害の発生の防止または軽減を図る。

 また、気候変動の影響で、極めて大規模な水災害が発生する懸念が高まっていることを追記し、「様々な事象を想定し対策を進めていくことが必要」と指摘している。

 追記された本県関連の具体的な対策をみると、遊水地・調節池の洪水調節機能の強化については、田中調節池など既存施設の有効活用を図るため、越流堤の可動化に向けて環境変化や無動力化・省力化などに関する調査、検討を進める。

 印旛沼を調節池として活用した放水路を整備するための調査、検討に着手し、検討にあたっては、印旛沼の水質改善対策や周辺の内水対策にも配慮する。

 河道掘削などの整備にあたっては、生物の繁殖場となる干潟などの保全・創出を図るために、河岸の切り下げや凹凸を設けるなどの工夫をする。

 江戸川水閘門では、老朽化対策とあせて耐震補強、魚類の遡上・降下環境の改善を実施し、旧江戸川へ適切に分派させる。

 また、県内の施工箇所については、堤防整備で香取市下小堀など7カ所、利根川の河道掘削で銚子市銚子漁港~東庄町石出など5カ所、江戸川の河道掘削で市川市市川三丁目~流山市下花輪など5カ所、高規格堤防で市川市上妙典の1カ所を追加する。

 このほか、施設状況などのデータベース化、排水ポンプ設備や水門などの有効活用、市区町村への支援体制の強化なども盛り込んでいる。

 河川整備計画の変更にあたっては、利根川・江戸川有識者会議(座長・清水義彦群馬大学大学院理工学府准教授)と利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議を設置、協議を進めている。

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