4項目で意見交換 建退共制度やCCUS工事(関東整備局と茨建協)

[2024/12/13 茨城版]
 国土交通省関東地方整備局(岩﨑福久局長)と県建設業協会(石津健光会長)による意見交換会が11日、水戸市内で開かれた。会合では、最近の取り組みや活動状況などを互いに報告したあと、協会が提案した▽公共事業費予算の安定的・持続的な確保▽建退共制度における退職金▽建設キャリアップシステム活用モデル工事における問題点▽競争参加資格における技術評価点数算出の対象期間──の4項目をテーマに意見を交わした。

 この意見交換会は、県土木部も参加して毎年開催されているもの。受注者から実際の現場で起こっている実態を聴取し、整備局の施策などに反映させている。今回の会場となったホテル・ザ・ウエストヒルズ水戸には、岩﨑局長や管内の関係事務所長ら整備局幹部と、協会幹部、県からは林利家部長ら土木部幹部が出席した。

 議事を前に岩﨑局長があいさつ。4年前は企画部長として出席したことを紹介しながら、国交省関連予算などについて解説。補正予算は、年規模を上回る水準だとして、成立後は早期執行を行う考えを述べた。業界を取り巻く環境は厳しくなっていると指摘し、新担い手3法をしっかり進めるとしたほか、1月には改正品確法の運用指針を定め、来年度発注に反映するとした。意見交換には活発な発言を期待。互いに知恵を出し合いながら前に進める意向を示した。

 林部長は、働き方改革や担い手確保に向けた県の施策を紹介。一堂に会した意見交換は重要だとして、今後も連携を深めていく考えを述べた。

 石津会長は、防災・減災、国土強靱化のための5か年計画に対し、「必要かつ十分な予算獲得をお願いしたい」と求めた。社会資本整備や災害時の地域の守り手となる建設業の役割を果たしていくには、適正な利潤を確保して経営を安定することが必要だと指摘。時間外労働の上限規制が適用され、課題が表面化している状況には、「すぐに解決は難しいが、顕在化した問題は情報共有で乗り越えていきたい」と決意を示し、円滑な連携を期待した。

 議事ではまず、整備局からの情報提供が行われた。協会からは、活動状況報告として、建設フェスタや親子見学会、建設出前授業などの担い手確保に向けた取り組み、フォトコンテストなどのイメージアップに向けた取り組みなどを紹介した。

 意見交換では、協会から本年度のテーマに挙げられた4つの項目について、関東整備局の担当者が回答した。

 建退共制度における退職金では、昨今の退職金受領額が減少傾向にあるとして、掛金額の増額や運用利回りの見直しを要請。整備局ではこれに対し、CCUSを通じた取り組みを進めるとともに、建退共制度を所管する厚労省の審議会により検討が開始され、本年度末のとりまとめを目指していると説明した。

 CCUSモデル工事の問題点では、農家が多い芝張工などについて、今後も登録者の増加が見込めないことから、実態に応じた柔軟な対応を要請。整備局の担当者は、今回の意見を踏まえながら普及状況と地域の要望、実情を勘案し、モデル工事の運用を検討していくとした。

 自由討議では、協会の鶴田哲男土木委員長や櫻井俊一建設未来協議会長、柳瀬香織建女ひばり会長らが発言。鶴田委員長は、会員に行った意識調査報告書において、市町村や民間工事では4週8休が不十分だとして、国による強い指導や啓発を求めた。これについて整備局では、各都県の商工会連合会などを訪問し、団体を通じた民間への周知を進めていることなどを紹介。県土木部の石川昭次長は、県内の市町村の週休2日制工事の実施状況を説明し、早期に採用するよう働きかける考えを示した。

 担い手確保の取り組みには、協会太田支部の梅原基弘支部長が、本年度から開始した建設出前授業について説明。座学である出前授業で学校の教壇に立つには、SDGsへの適用が不可欠となっていることや、建設業が身近な存在だと知ってもらえる良い機会になったことなどを紹介した。

 岩﨑局長は最後に、意見交換会が未来の建設産業へさまざまな方向性を示唆するものとなったことに謝意を述べた。4週8休の推進では、日給月給がハードルになっている一方、月給制にシフトしている状況にあることも指摘。「一足飛びに月給制への移行は難しいが、移行してきた企業の苦労などを教えて頂ければ参考になると思う」と述べ、一層の協力を求めた。

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