約98haを区画整理 上稲葉地区農地整備事業 来年度から事業着手(県農地整備課)
[2024/12/10 栃木版]
県農地整備課は2025年度から、壬生町の上稲葉、七ツ石地内で、県営農地整備事業(経営体育成型)の上稲葉地区に着手する。農地の大区画化やICT自動給水栓の導入、排水路の暗渠化、区画内道路の整備などで農業生産性を向上させるとともに、農地の集積・集約化といちごハウスの団地化などで効率的かつ安定的な農業経営を目指す。事業期間は31年度までの7年間で、工事は27年度から30年度までの4カ年で実施。総事業費は約28億2000万円で、このうち工事費は約25億2000万円を見込んでいる。
この地区は壬生町の西側に位置し、道の駅みぶから西に3kmほど進んだ、南は北関東自動車道、西は一級河川思川、東は国道352号線に囲まれた水田地帯。地区の南側には圃場整備を実施している下稲葉地区、北側二は圃場整備を構想する七ツ石地区があり、地域一体となって圃場整備に取り組んでいる。
上稲葉地区はいちごハウスが多く、農地区画は20a程度の小区画不整形となっている。水路は用排兼用の土水路があるものの、多くは田越しかんがいと地下浸透に頼っており、二毛作など水田の高度利用が困難な状況。また、生活道を兼ねた農道は狭小・屈曲しているため大型機械の導入が困難で、効率的な営農に支障をきたしている。
このためこの事業では、農地の大区画化やICT自動給水栓、水路の暗渠化などのスマート農業や、雨水流出抑制対策として田んぼダムに取り組むことで担い手への農地の集積・集約化や農作業の効率化などを図る。あわせてハウス移転を行い、米麦といちごをゾーニングして高収益作物の導入も図ることで、収益性の高い農業の実現に取り組み効率的かつ安定的な農業経営を目指す。
事業内容は区画整理工97.9ha(水田84.8ha、畑13.1ha)で、具体的には整地工が97.9ha、用水路工が9.6km(揚水機4基)、排水路工が6.7km、道路工が12.0kmとなっている。農地整備によりいちごの施設を団地化し、担い手による大規模水田農業と施設園芸農家によるいちご専作の共存共栄を目指す「施設園芸重点型」として整備する。
農地は90%を1ha区画、6%を50a区画にし、計96%を大区画化して大型機械導入による農作業の効率化を図る。またICT自動給水栓を導入して効率的な用水管理を図るほか、暗渠型排水路で草刈り等の維持管理の省力化を可能にする。地区内には幅員6mの舗装道路を導入することで、いちご出荷時の荷痛み等防止を図る。
また、排水路の整備により水田の汎用化を進め、イチゴを増産する計画。また、約11haのいちごハウスを移転・団地化して、米麦などといちごのゾーニングを計画する。地区の西側は米麦ゾーン、東側の高台はいちごゾーンに設定して、生産拡大を図り強固な農業経営基盤を確立する。
事業の予定期間は、25年度から31年度までの7年間で計画する。このうち設計は25年度下半期から26年度末までの期間でまとめ、工事を27年度から30年度までの4カ年で実施。31年度には、換地処分を行って事業を完了させる。
総事業費は、測量設計費が約8000万円と用地補償・換地費が約2億2000万円、工事費が約25億2000万円の計28億2000万円を見込み、国が50.0%、県が30.0%、市と地元が各10.0%を負担する。
コスト縮減策は、道路工の敷砂利に使用する砕石(0~40mm)を普通骨材から再生骨材に変えるほか、地区内舗装道路については既設利用とする。投資効果は、総費用が20億1000万円、総便益が22億8000万円で、費用便益比は1.13と算出している。