約33haを区画整理 上古山地区 県内4例目の機構関連型で(県農地整備課)

[2024/12/6 栃木版]

 県農地整備課は2025年度から、下野市の上古山地内と宇都宮市の針ヶ谷地内で、県営農地整備事業(機構関連型)の上古山地区に着手する。農地中間管理機構関連の農地整備事業は県内4件目で、農地の大区画化やICT自動給水栓の導入、排水路の暗渠化、区画内道路の整備などで農業生産性を向上させるとともに、農地の集積・集約化を図る。事業期間は31年度までの7年間で、工事は27年度から30年度までの4カ年で実施。総事業費は約11億7000万円で、このうち工事費は約10億3000万円となっている。

 この地区は東武宇都宮線の安塚駅から1km東の下野市と宇都宮市の市境に位置し、東を流れる準用河川西川田川と西を流れる一級河川姿川に囲まれた水田地帯。1972年から75年にかけて農業構造改善事業で整備されているが、農地は20~30aの小区画が大半で、道路は2m程度と狭く大型機械の搬入等が困難な状況となっている。

 また、水路は用排兼用の土水路で水管理に苦慮しており、土砂さらいや草刈りなどの維持管理にも多大な労力を要している。さらには近年の豪雨の多発化で農地の冠水被害が増え、施設園芸や露地野菜の生産拡大の大きな支障となっている。

 このように、農業生産の基盤となる農地の区画や用排水路・道路が未整備であるため、野菜など収益性の高い作物の導入・拡大や、担い手農家への農地の集積・集約が進まないといった問題が生じている。加えて、地域農業の生産性・収益性をいかに上げるかがこの地区の課題となっている。

 このためこの事業では、農地の大区画化やICTを活用した水管理システム等の次世代型生産基盤技術の導入、農地バンクの活用による農地の集積・集約を進め、効率的な水田農業を目指すとともに、野菜ゾーンの設置による高収益作物の作付拡大や雨水流出抑制対策として田んぼダムに取り組むことで、地域農業の持続的な発展を図っていく。

 事業内容は区画整理工33.5ha(水田33.0ha、畑0.5ha)で、その内訳は整地工が33.5ha、用水路工が5.1km(揚水機3基)、排水路工が5.5km、道路工が6.3kmとなっている。農地整備にあわせて、全ての農地に中間管理権を設定して農地の賃借を進め、集積率・集約化率の向上を図る「集積集約重点型」として整備する。

 農地は68%を1ha区画、27%を50a区画にし、計95%を大区画化して大型機械導入による農作業の効率化を図る。またICT自動給水栓を導入して効率的な用水管理を図るほか、暗渠型排水路で草刈り等の維持管理の省力化を可能にする。地区内には幅員6mの舗装道路を導入することでほ場出荷に対応し、作物出荷時の荷痛みを防止する。

 また、排水路の整備により水田の汎用化を進め、イチゴやレタスなど高収益作物の導入可能な農地を整備する。さらにこの地区の特徴的な対策として、農業用ハウス移転による野菜ゾーンを設定。地区の中心の高台に設定した野菜ゾーンにハウス移転を行うなど、地区の23%の農地で高収益作物の作付を進める。

 事業の予定期間は、25年度から31年度までの7年間で計画する。このうち設計は25年度下半期から26年度末までの期間でまとめ、工事を27年度から30年度までの4カ年で実施。31年度には、換地処分を行って事業を完了させる。

 総事業費は、測量設計費が約3000万円と用地補償・換地費が約1億1000万円、工事費が約10億3000万円の計11億7000万円を見込み、国が62.5%、県が27.5%、市が10.0%を負担する。投資効果は、総費用が12億1000万円、総便益が15億1000万円で、費用便益比は1.24と算出されている。

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