長生合同庁舎を再整備へ 大規模改修や増築 事業費70億円(千葉県)
[2024/11/28 千葉版]
県は、長生合同庁舎(茂原市)の再整備に向け、基本計画をとりまとめた。本庁舎などを大規模改修し、増築棟を新築するほか、浸水対策や仮設庁舎の建設を進めていく。本年度から設計業務に着手し、2027年度の着工、30年度の供用開始を目指す。総事業費は70億円規模を想定している。
県長生合同庁舎は1991年に建築し、築32年が経過。内装や設備などの老朽化が進んでいるものの、建物の耐震性は確保されていることから、大規模改修を施す。併せて、県東上総教育事務所を集約するため、敷地内で増築する計画だ。
増築棟の建設場所については、敷地内の4カ所を比較検討。総合的に評価した結果、防災機能や県民の利便性に最も優れていた国道128号側に位置する本庁舎の東側スペースが選定された。
増築棟の延床面積は、既存庁舎で不足することが想定される1300平方m程度。敷地には空きスペースがなく、通行路などを縮減することになるため、建築面積を小さくするよう考慮し、構造はRC造3階建てとする。
大規模改修の対象となるのは、本庁舎(RC造5階建て延べ5946平方m)、車庫・倉庫(S造2階建延べ1503平方m)、大型車庫・機材庫(S造2階建て延べ486平方m)、別棟(S造2階建て延べ257平方m)など。防水や外壁、建具、内装などの大規模改修のほか、電気・機械設備の更新を計画している。
入居フロアは本庁舎の1階が茂原県税事務所、長生保健所検査室、2階が長生地域振興事務所、長生保健所、3階が長生農業事務所、一宮川改修事務所、4階が長生土木事務所とする。増築棟には全て東上総教育事務所が入る予定だ。
この敷地は台風災害などで浸水被害を受けているため、対策を実施する。既存庁舎では高さ60cmの止水板を設置。増築棟は50cmかさ上げするとともに、高さ30cmの止水板を整備する。
工事の期間中、東上総教育事務所を含む入居機関は敷地外に仮移転する。移転先は、茂原市東郷地区の市有地約7700平方mを借り上げ、プレハブ庁舎を建設する計画だ。
基本・実施設計業務については、委託事業者を総合評価方式で選定する一般競争入札の手続きを進めている。本年度予算では長生合同庁舎再整備事業について、26年度までに限度額3億9800万円の債務負担を設定している。
県長生合同庁舎は「千葉県県有建物長寿命化計画」の整備計画II期(23年度~27年度着手)で、東上総教育事務所を集約して大規模改修する施設と位置付けられている。
茂原市内では近年、19年の房総半島台風や23年の台風第13号による浸水被害が発生。市内に立地する長生合同庁舎や東上総教育事務所は浸水被害を受けており、庁舎の浸水対策が喫緊の課題となっている。
元設計は榎本建築設計事務所、元施工は内野屋工務店がそれぞれ担当した。