用排水路や農道など整備 中山間地域総合整備事業 茂木地区で来年度着手(県農村振興課)
[2024/11/27 栃木版]
県農村振興課は2025年度から新たに、茂木町で中山間地域総合整備事業の茂木地区に着手する。茂木町全域を事業実施対象とし、農業用用排水施設整備や農道整備、圃場整備をはじめ、農作物加工施設および農村体験施設の整備なども計画する。総事業費は約20億円を見込み、測量設計を25年度と26年度の2カ年で、工事を26年度から8年間で実施する計画となっている。
農産物加工・農村体験施設も計画
中山間地域は地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であり、人口減少や高齢化の進展などもあいまって深刻な状況にある。このため、中山間地域総合整備事業で生産性の向上や農業者の所得確保などの課題に応じた生産基盤などを整備し、地域の特色を活かした営農を確立する。
茂木町は全域が中山間地域指定を受けていることから、町全域を事業実施対象区域に設定する。事業の要件としては、農業基盤整備から2工種以上と、農村振興環境整備から1工種以上をあわせて実施する。茂木地区では農業基盤整備から農業用排水施設整備と農道整備、圃場整備の3工種、農村振興環境整備から生産・販売・交流・農泊等施設整備と情報基盤施設整備の2工種の、あわせて5工種を計画する。
地区の現状は、昭和40年代から昭和の末にかけて基盤整備が実施されているが、施設の老朽化や生産基盤の機能低下が農業生産に支障を来たしている。取水堰や揚水機は老朽化し、水路は用排水兼用の土水路のため水管理に苦慮している。農道は狭小・未舗装のため作物の荷傷みが発生。また圃場区画が小さく湿田が多いことから、麦や大豆などの土地利用型農業が進展していない。
このため事業では、未装工の用水路、排水路を整備し、用水管理の改善と排水不良の解消を図るほか、土砂道を舗装して作物の荷傷み防止と通作条件の改善を図る。水田の区画規模は地形条件を考慮し標準30aで整備し、農作業の効率性を高める。また、そばの加工施設やそば打ち体験施設を整備し、農作物の高付加価値化と集客力アップによる農家所得の向上を図る。さらに無線基地局や遠隔水管理システムを整備して、水管理の省力化を図る。
受益面積は268haで、内訳は農業用用排水施設整備が258.4ha、農道整備が16.8ha(うち重複16.6ha)、圃場整備1.5ha、情報基盤施設整備45.1ha(うち重複37.2ha)となる。
事業内容を見ると、農業用用排水施設整備は計17地区の総延長42.0kmで用排水路の整備、取水堰、揚水機などを更新整備し、土水路はコンクリート二次製品で整備する。事業費は17億2000万円で、全体事業費の86%を占める。農道整備は2地区の延長2.5kmで舗装工事まで計画し、事業費は9000万円を見込む。圃場整備は町北部の下菅又地区1地区で1.5haを整備し、事業費は7000万円を見込んでいる。
生産・販売・交流・農泊等施設整備では、地域への誘客促進を図るため、逆川地区のミニ道の駅いい里さかがわ館
に隣接して農作物加工施設および農村体験施設を整備する。そばの加工施設やそば打ち体験施設を整備する計画で、事業費は1億円を想定。情報基盤施設整備は、スマート農業推進のため4地区の22カ所に無線基地局や遠隔水管理システムを整備する計画で、事業費は2000万円を見込む。
事業スケジュールは、測量設計を25年度から26年度にかけて実施し、換地は計画を26年度、処分を28年度に予定。工事は26年度から8年間を予定しており、事業期間全体は25年度から33年までの10年間で決定している。事業費は測量設計費が約2億6000万円、用地補償費が約1000万円、工事費が約17億3000万円の、あわせて約20億円を見込んでいる。
なお、コスト縮減の取り組みについては、農道工事などで発生した残土を地区外に持ち出さず、農地の基盤土として圃場整備工事で利用するなど、建設発生土の有効利用による事業コストの縮減を図る。