再公告へ市場調査 医療センター建替工事(船橋市)
[2024/11/21 千葉版]
船橋市は、入札手続きを中止した市立医療センター建替工事について、入札辞退者へのヒアリング内容や、ゼネコンや設備業者へのサウンディング調査結果を明らかにした。ゼネコン、設備業者ともに、おおむね手持ちの工事で手一杯という企業が多く、2027年度以降であれば参加検討可能な企業が増えそうな状況にあることがわかった。発注方法は、分離発注を望む企業が多かった。再公告など今後の対応については、今回の結果をふまえ、市長部局と病院局で検討している。
●分離発注の希望多数
市立医療センター建替工事の施工事業者を選定する総合評価方式一般競争入札については、フジタ・ティーエスケー特定建設工事共同企業体の1グループが、入札への参加を申請したものの、9月に同グループから辞退届が提出され、入札参加者が不在となったことから、入札手続きを中止していた。
入札辞退者へのヒアリングは9月と10月の2回実施し、今後の検討に向け、入札辞退した理由などの把握に努めた。
入札を辞退した理由としては、工事費の乖離と工期不足を主な理由として挙げ、9月時点での積算価格は予定価格に対して約2割5分超過したほか、工期は44カ月を見込んでいたことから、約6カ月の不足となったとの説明があった。設備業者が非常に多忙な状況にあり、このことが工事費や工期にも影響しているという。
一方、ゼネコンと設備業者へのサウンディング調査は、10月8日~25日に実施した。対象企業は、ゼネコン8社、機械系設備業者10社、電気系設備業者10社の計28社。
ゼネコンについては、おおむね26~27年度まで手持ち工事で手一杯という企業が多く、それ以前の参加については各社とも消極的だった。
当面の受注方針は、特命案件や重要顧客案件を優先している企業が多く、競争案件への参加意欲は低いことがわかった。発注方法については、分離発注が良いとの回答が寄せられた。
設備業者は、おおむね27~28年度まで手持ち工事で手一杯という企業が多く、特に機械系は、30年度まで手一杯という企業も多数あった。
当面の受注方針についても、特命案件や重要顧客案件、営業中案件、元施工案件、受注確度の高い案件を優先しており、競争案件への参加意欲は低かった。
市立医療センターの建替工事は、工事規模が大きいため、強電と弱電を分けるなど工事の分割を希望しており、分離発注を望む回答が多く寄せられた。
市立医療センターの建設予定地は、海老川上流地区土地区画整理事業1街区1画地ほか。計画敷地全体面積は4万4674平方m。うち、病院敷地4万2511平方m、救急ステーション敷地1122平方m。
医療センター本体棟の規模は、S造一部SRC造(免震構造)7階建て・塔屋2階建て延べ約5万3373平方m。病床数は500床。同工事では、このほか、エネルギーセンター棟、医療ガス棟、駐車場棟、救急ステーションの建設、外構や敷地の造成、地盤改良工事を担当する。
入札では予定価格525億6000万円(税抜き)、工期は2027年11月末までを設定していた。
基本・実施設計は、日建設計(東京都千代田区)が担当した。