1工区が施行認可 湊線延伸 約59億円投じ30年春開業へ
[2024/11/21 茨城版]
ひたちなか海浜鉄道は、ひたちなか市と進めている海浜鉄道湊線の延伸計画で、先行整備する第1工区(延長1.4km、事業費59億2300万円)について、18日付で国土交通省から工事施行認可を得た。本年度中に国支援の前提となる鉄道事業再構築実施計画を策定したあと、25年度から測量や設計、用地取得などに着手。30年春の開業を目指すとしている。
湊線の延伸計画ではこれまで、16年度に「湊線の延伸を実現する会」などが示した4ルート案から、ひたち海浜公園の外周道路沿いなどを通る延長約3.1kmを基本ルートに決定。その後計画を見直し、18年8月に延伸基本計画としてまとめた。基本計画策定後は、国土交通省と鉄道事業法による事業認可申請に向けた事前協議を進め、21年1月に事業認可を得た。
計画では、阿字ヶ浦駅から国営ひたち海浜公園前までの約3.1kmを延伸し、勝田駅からの総延長を17.4kmに設定。当初、延伸区間の新駅は、土地区画整理事業内とコストコ東側の最終地点となる2カ所に設置して「行き違い施設」を阿字ヶ浦駅に設置するなど、事業費に78億3500万円を投じるとしていた。
その後、22年1月までの工事施工認可申請へ準備を進めていたが、新型コロナウイルスや物価高騰などの要因を受け、2度の申請延期を強いられた。こうした状況を受け、新駅の位置を変更し、工区分けをして工事施行認可の分割申請を行うなどの基本計画の変更を実施。ことし3月に計画変更の認可を得て、第1工区の工事施行認可と第2工区の工事施行認可申請期限延長を申請した。第2工区の延長申請は既に認可され、工事施行認可申請期限は30年3月31日までとなっている。
新しい基本計画では、阿字ヶ浦土地区画整理事業区域内の中央に設置を予定していた新駅1の位置を、同じく区画整理事業内の国営ひたち海浜公園南口付近へと変更。変更後の新駅1までの延長1.4kmを第1工区(阿字ヶ浦駅~新駅1)として先行整備する。これにより、海浜公園来園者の利便性の向上や、工業団地通勤らによる利用者増を見込んでいる。
このほか、橋梁の追加や橋長・橋脚位置を見直し、先行開業に伴う設備追加などを行った。また、この間の社会情勢の変化による資材価格や労務費の高騰を反映させた。これらによる事業費の上振れを極力抑えるため、一部区間の構造を高架橋から盛土補強土擁壁構造に変更するなど、縮減した結果、事業費は約126億4100万円(第1工区59億2300万円、第2工区67億1800万円)と試算した。
第1工区の事業期間は25-29年度の5年間で、測量や詳細設計、工事などは海浜鉄道が主体となって進めていく。第1工区の開業時期は30年春を予定するが、第2工区(新駅1~新駅2)の開業は第1工区の進捗状況に合わせて決定するため、現時点では未定としている。
工事施行認可の取得を受け、大谷明ひたちなか市長は、「市としては、事業の着手に向けて、ひたちなか海浜鉄道と連携し、国補助の前提となる湊線の鉄道事業再構築実施計画の策定作業を進めるとともに、市民、議会をはじめ多くの皆さまに理解をいただきながら、引き続き湊線の延伸を支援していく」などとコメントしている。