来年度に擁壁設計 国道293号矢又工区 約1kmを拡幅・線形改良(県烏山土木)
[2024/11/19 栃木版]
県烏山土木事務所は、国道293号の那珂川町矢又工区で現道拡幅による道路改良事業を計画している。現在は、I期工区延長1060mについて富貴沢建設コンサルタンツ(宇都宮市)で年度内を目標に道路詳細設計をまとめており、順調にいけば2025年度から用地測量と、一部北東側の丘陵地に設置する擁壁の詳細設計を策定する。I期工区では擁壁工のほか、台入橋で既設ボックスカルバートを拡幅に伴い継ぎ足し、西沢橋についてはボックスを継ぎ足すか、全体の架け替えを検討している。
国道293号は、茨城県日立市から足利市に至る広域幹線道路で、災害時には緊急輸送道路としても指定されている重要な道路となっている。このうち、那珂川町矢又地内は道路幅が狭く歩道が未整備で、沿線の県立馬頭高校など通学に利用している児童生徒の安全な通行に支障を来たしている。
同事務所では、歩行者や自転車の安全確保や通行車両の利便性向上を図るため、馬頭高校東側付近から県道矢又大内線分岐部付近までの未整備区間、約2800mの改良事業を計画。このうち今回は先行区間として、区間西側となる馬頭高校側から延長1060mについて、I期工区として事業化を図る。
この区間は道路の幅が狭く、またカーブで見通しが悪いことから、歩行者・自転車の通行空間の確保とあわせて、安全に通行できる道路幅を確保し、見通しの良い緩やかなカーブへと改良する。
現道の幅員は車道2.75m2車線と路肩が川側0.7m、山側1.4mの計7.6mで、拡幅改良後は車道3.25m2車線と路肩が川側1.75m、山側1.0m、歩道が山側に2.5mの、合計11.75mとする。
拡幅にあたっては、南西側に一級河川矢又川が流れて急な高低差があり拡幅が難しいことから、北東側の山側を拡幅する計画。北東側に立地する人家は道路に直接接してはいないが、道路沿いに擁壁と進入路を設けて、この進入路から敷地内に乗り入れている。
道路の拡幅によって、この擁壁を新たに作り直す必要があるほか、進入路の勾配が急になることから、設置箇所や勾配など、詳細設計の完了に向けて地元住民と協議・調整を進めている。擁壁は拡幅工事の際に主にブロック積みで対応する方針だが、区間内に高さ約8m、延長約100mの擁壁が1カ所設けられており、擁壁工事を実施する必要があることから、来年度にこの擁壁の詳細設計を策定する。
構造物はこのほか、矢又川に流入する西ノ沢に架かる台入橋で、拡幅分を継ぎ足す工事を実施する。既設のボックスは延長21.3mで、詳細設計によると継ぎ足すボックスは内空の幅1.8m、高さ1.5m、延長6.01mとする。
西沢橋も台入橋と同様にボックス形式で架設されており、現在は既設のボックスの健全性を調査している。調査の結果、耐荷重が不足すると判断した場合には、全体の架け替えも視野に入れる。