新庁舎の工事費増額へ 今月下旬に新築再公告(宮城県 気仙沼市)
[2024/11/13 宮城版]
気仙沼市は、新庁舎建設工事が入札不調に終わったことを受け、工事費を増額した上で今月下旬に一般競争入札を再公告する意向だ。増額には補正予算を組んで市議会11月臨時会を開き、承認を得る必要がある。前回の入札では予定価格に79億9200万円、最低制限価格に73億5264万円を設定していた。工期は2027年7月30日までとしていたが、再公告に当たって2~3カ月ほど後ろにスライドさせる考え。
前回の入札は建築本体工、電気設備工、機械設備工、昇降機設備工、外構工、残置建物解体工を一括し、10月31日に一般競争入札を開札した。その結果、岩田地崎建設(東北支店・仙台市青葉区)が94億7000万円、西松建設(北日本支社・同)が105億4000万円で札入れしたものの、予定価格を上回った。2回目の入札は2社とも辞退したため、不調に終わった。
工事担当課の総務部新庁舎建設・財産管理課によると、予定価格と応札額に大きな開きがあるため、工事費の上乗せが必要と考えている。そのため、11日に開かれた新庁舎建設調査特別委員会で市議会議員に市の考えや今後のスケジュールを説明し、増額補正への理解を求めた。
今後のスケジュールを見ると、11月補正予算が成立すれば今月下旬に新築工事の入札を再公告し、来年1月下旬に開札、市議会2月定例会で工事請負契約の承認を求める。工期は27年9~10月までとする見込み。
新築工事の再発注に当たって入札参加資格や工事内容などを見直すかどうかについては、慎重に検討してこれから判断する。
前回の入札では「入札後共同企業体結成方式」を採用した。これはJVの代表者になる者が入札し、落札候補者に決定した後、2~3社のJVを結成する方式。総合評価は適用しなかった。
参加資格は土木一式工事と建築一式工事について、気仙沼市からAランクの承認を受けていることや、特定建設業の許可を持つことなどだった。経審の総合評定値は土木一式工事が1200点以上、かつ建築一式工事が1500点以上としていた。このほかに施工実績なども求めた。
JVに関しては、構成員が2社(代表者以外が1社)の場合に代表者以外の資格要件が気仙沼市内に本店があり建築一式工事がAランクで特定建設業の許可を持つことなど、3社の場合は代表者以外が同市内に本店があり土木一式工事または建築一式工事がAランクで特定建設業の許可を持つことなどだった。
新庁舎は田中177他の旧市立病院跡地に建設する。総敷地面積は約2.7ha。新しい庁舎棟や付属棟などを合わせた延べ床面積は9480平方m。庁舎棟はS造一部RC造地下1階地上4階建てとする。ほかに173台の駐車場、59台の駐輪場などを整備する。
新築の基本・実施設計業務は久米設計(東京都江東区)・国際航業(東京都新宿区)設計JVに委託した。実施設計の段階で建設工事費に73億8000万円、造成工事費に12億3000万円、外構工事費に3億8000万円を試算していた。
新庁舎の工事費は6月補正予算で本年度分に5700万円を計上するとともに、建設事業費として24~27年度で限度額91億3000万円の債務負担を設定した。債務負担には工事監理費が含まれている。