側帯や坂路など整備 足利市かわまちづくりに来年度着手(渡良瀬川河川)
[2024/11/13 栃木版]
国土交通省渡良瀬川河川事務所は、利根川水系渡良瀬川河川整備計画フォローアップ委員会に利根川水系環境整備事業(渡良瀬川環境整備)の再評価を諮り、「原案通り継続」で了承された。今回の再評価は、実施事業の中に新規箇所として「足利市かわまちづくり」を追加したためで、渡良瀬川・旗川・矢場川の沿川で、側帯1カ所や管理用通路10.1km、坂路4カ所の整備を進めていく。事業期間は2025年度から33年度までの9カ年で、建設費は約10億円。この事業では国交省のほか、足利市でも休憩施設や案内看板などを整備する。
今回事業再評価をするのは、新たに整備箇所を追加したため。これにより、前回(20年)の再評価から総便益や総費用が変化し、費用便益比も変化している。なお総合水系環境整備事業では、継続事業と新規事業のみ評価対象として計上し、個別完了箇所評価を実施した箇所は評価対象としていない。
この事業は、水環境と水辺整備の2つの分野で実施しており、水環境は水質汚濁が進んだ矢場川などで浄化導水、河川浄化施設の整備などと組み合わせて実施し、水環境の改善を図った。
また水辺整備の分野では、地域の活性化や河川での環境学習、自然体験活動などに資する水辺の整備・利活用計画などが作成された箇所で、まちづくりと一体となった魅力ある水辺空間の整備を実施している。
これまでに、矢場川憩い・ふれあいネットワーク整備や桐生川水辺環境整備を実施し、これらの事業は既に完了評価済み。現在は、渡良瀬川で渡良瀬川環境整備を継続しているほか、今回新たに渡良瀬川・旗川・矢場川で足利市かわまちづくりを実施する。
「足利市かわまちづくり」は、渡良瀬川堤防などを活用したサイクリング・散策のための環境整備として、休憩スポットや安全で快適なサイクリングロード・散策路としても利用可能な側帯や管理用通路などの整備に、25年度から着手する。
整備の内容は、側帯整備が1カ所、管理用通路整備が10.1km、坂路整備が4カ所で、側帯は旗川合流点付近に整備。坂路は松田川合流点付近と野田町、鹿島橋、福猿橋に整備し、管理用通路はサイクリングロードのほか栄町~岩井町まで、矢場川沿川、および鹿島橋と福猿橋に整備する。
このほか、側帯整備後に設置する休憩施設や、坂路、管理用通路の整備後に設置する案内看板などは、足利市が整備する。建設費は10億円、維持管理費は0.71億円で、総費用は約11億円を見込んでいる。
国が側帯や管理用通路などを整備し、足利市が休憩施設や案内看板などを整備することで、サイクリストの増加や市内回遊性の向上を図り地域の活性化が期待され、総便益は117億円と試算。これにより、費用便益比は10.5となっている。
なお、渡良瀬川環境整備は1996年度から2027年度までの期間、3地区で緩傾斜堤防1.93kmや坂路整備7カ所、管理用通路整備0.9km、および基盤整備3万9700平方mを実施している。
このうち、足利地区では緩傾斜堤防約1.8kmと坂路整備1カ所などを実施し、05年度に整備完了。岩井地区は緩傾斜堤防約0.16kmや基盤整備3万9700平方m、坂路整備2カ所、管理用通路整備0.5kmなどを実施して、19年度に整備完了している。五十部地区では、管理用通路整備0.5kmと坂路整備(階段等含む)4カ所を22年度に整備完了しており、引き続き26年度までモニタリング調査を実施する。
渡良瀬川環境整備の総費用は50億円で、総便益は55億円、費用便益比は1.1。足利市かわまちづくりとあわせた評価対象全体の総費用は61億円で、総便益は172億円、費用便益比は2.8となっている。同事務所は、これらの事業は河川空間を活用して賑わいの創出に寄与するものであり、事業の必要性・重要性は高く、渡良瀬川環境整備のモニタリングを継続し、足利市かわまちづくりを新規に実施することが妥当との対応方針を示し、委員から原案の通り継続することを了承された。