九十九里・南房総地域の水道統合へ 基本計画案を提示(千葉県)

[2024/11/13 千葉版]
 九十九里地域・南房総地域の水道用水供給事業体と県営水道の統合協議会(会長・熊谷俊人知事)の第10回会合が12日、ウェブ方式で開かれ、統合基本計画案が示された。施設整備計画では、老朽化が進み、耐震性に欠ける施設・設備の計画的な更新に765億円を投じる方針。12月下旬に開催予定の次回会合で承認を求め、2025年1月中旬に基本協定を締結し、26年4月の統合を目指す。

 統合基本計画では、将来にわたる安定給水を確保できるよう、統合から20年間を計画期間とした施設整備計画を盛り込んでいる。老朽化が進み、耐震性に欠ける施設・設備の計画的な更新を進めていく方針だ。

 総事業費は九十九里地域577億円、南房総地域188億円の計765億円を概算。老朽化対策に605億円、耐震化に160億円をそれぞれ投入する。このうち42億円については、統合に伴い活用可能な国の交付金を最大限活用することを見込んでいる。

 浄水場の統廃合など施設の最適化については、浄水場の更新が計画期間後に想定されることから、統合後に水需要や施設の稼働状況を踏まえ、より具体的な検討を進めていく。施設能力の余剰が課題となっているという。

 統合の形態をみると、九十九里地域水道企業団と南房総広域水道企業団を解散する。県企業局が水道事業、工業用水道事業、造成土地管理事業に加え、九十九里・南房総地域の水道用水給水事業を統合した事業を経営する。

 県企業局に「用水供給部」を新設し、県庁近くで建設が進む新庁舎に「用水供給管理課」と「用水供給施設課」を設置する。両企業団の既存庁舎は「九十九里用水供給事務所」と「南房総用水供給事務所」(いずれも仮称)とし、出先事務所として活用する。

 統合基本計画の策定を経て、25年1月中旬にも基本協定を締結する方針。協定では▽統合基本計画の内容▽職員の勤務条件▽資産の整理▽水道用水供給料金体系▽財政措置▽市町村水道総合対策事業補助制度の適用──などの合意を検討している。

 今後の想定スケジュールは、25年6月の市町村議会で企業団の解散や財産処分、9月県議会で水道用水供給事業の新設について、それぞれ承認を求める。創設事業の申請・取得を経て、26年4月1日の事業開始を目指している。

 会合で熊谷会長は、統合に向けた協議が大詰めを迎えていることを報告し、「将来に向けて、水道の経営基盤の強化を図り、安定給水を確保していきたい」と意気込みを語った。

 本県は水源を確保することが不利な地域となっており、人口減少が見込まれる中、将来にわたり水を安定供給するため、水道事業体の経営健全化や技術の確保、施設の更新などの課題を解決する必要がある。

 個々の水道事業体の経営努力では、これらの課題を解決することが難しいことから、リーディングケースとして、九十九里地域と南房総地域の水道用水供給事業体と県営水道の統合に取り組んでいる。

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