桜主体に再配置 神之池緑地 賑わい創出へ休憩施設整備も(神栖市)
[2024/11/7 茨城版]
神栖市は、桜を主とした神之池緑地樹木再配置計画を公表した。緑地内の老朽化した樹木の再配置などを行って、魅力向上と賑わい拠点の形成を図る。計画期間は本年度から33年度までの10年間で、9つのゾーンごとに取り組み内容を整理。土壌改良や不良木の植替え、桜をはじめとする四季の樹木の植栽、休憩施設や芝生広場の整備などを行っていく。
神之池緑地は73haの緑地面積を誇り、約9900本(うちサクラは1900本)の樹木が植えられている。しかし、開設から約50年が経過し、海からの強風、固い土壌や排水の不備などもあり、樹木の老朽化が顕著な状況。20-22年度に行われた樹木調査によると、「健全」と判断された桜はわずか13.6%(262本)で、病理も多発しているという。
市は21年にまちのにぎわいづくりプラン、22年に神之池緑地整備基本計画を策定し、緑地周辺の魅力向上に向けた各種施策の実施を決定。今回はこの個別計画として、緑地内の樹木再配置や適切な維持管理の方策について示した。なお、計画策定業務は新日本コンサルタント茨城事務所(潮来市)が担当している。
樹木の再配置にあたっては、緑地を▽桜の優先改修ゾーン(A)▽公共施設周辺緑化ゾーン(B)▽水際の緑地形成ゾーン(C)▽桜並木育成・再生ゾーン(D)▽良好環境維持ゾーン(E)▽桜などの植替え・健全化ゾーン(F)▽レクリエーション広場形成ゾーン(G)▽並木改善ゾーン(I)──の9つに分割。それぞれのゾーン別に基本方針を設定した。このうち、Aゾーンではかみす桜まつりのメイン会場となる場所として、土壌改善や多様な桜の植栽、シンボルツリーの育成、見所スペースの改善、防風対策などを行っていく。28年度初頭までに完了させる計画だ。
またB、C、G、Hゾーンに関しては、民間事業者の活用を呼び込むパイロットエリアとして設定。具体的にはキッチンカーやマルシェ、フリーマーケットなどの開催を想定し、賑わい形成や交流の促進を図る。
鹿島港側のE、F、G、Hゾーンでは、現在送電線鉄塔の県有地への移設工事が行われており、市はこの跡地についても利活用を計画している。工事は来年度末に終了する予定で、経過観察をしたのち整備方策を検討する。現在のところ、樹木の整備のほかベンチや四阿などの休憩施設、作業ヤードの整備などが候補に挙がる。
樹木の維持管理方法ではこのほど、ボランティア組織である「神之池桜守隊」が発足。当面、専門家である緑化組合をはじめとする緑地管理関係者は、市民活動を支援するオブザーバーでの参画を想定。ただ、毎年発注する維持管理業務のなかで、今後桜守隊への技術的指導や資機材などの協力を依頼することなども検討しているという。