維持管理功労を表彰へ 新・建設産業振興プラン 宮城県が骨子案示す
[2024/11/2 宮城版]
県は1日、「みやぎ建設産業振興プラン」の次期プラン策定に向けて懇談会を開いた。県が次期プランの骨子案を示し、有識者や建設業団体の役員らと協議した。骨子案では4つの基本目標と12の施策、27の取り組み内容などを記載。新規の取り組みには、建設企業のDX推進とデジタル人材の育成や、維持管理長期功労者表彰の実施などを盛り込んだ。年度内に時期プランを策定する。
同プランは、建設業が将来にわたって持続発展していけるように、産学官が連携して効果的・体系的に支援していくための指針となる。現行の第3期プランが本年度で終了するため、次期の第4期プランを策定する。
時期プランの骨子案を見ると、計画期間を2025~27年度の3年間とする。これは上位計画である「土木・建築行政推進計画の中期アクションプラン」の計画期間に合わせた形となる。
基本目標は[1]担い手の確保・育成[2]生産性の向上[3]経営の安定・強化[4]地域力の強化――の4つで、現行プランと同じ。この基本計画に沿って施策や取り組み内容、具体的な取り組みを紐づけている。併せて、目標指標を示す。
担い手の確保・育成では、「働き方改革の推進」や「多様な人材の活躍と定着」といった施策を掲載。新規の取り組みとしては、働き方改革の推進で「時間外労働の是正」、多様な人材の活躍と定着で「担い手の入職促進と離職防止対策」、「外国人労働者の活用」を盛り込んだ。
具体的な取り組みには、入職促進と離職防止に向けた「奨学金返還支援事業の導入推進」、外国人労働者の活用に向けた「マッチングイベント等への建設業者の参加促進」や「経営支援セミナー等を活用した普及促進」などを想定している。
生産性の向上では、DXの推進として、「経商部と連携したDX推進支援」、「バックオフィス分業化の推進」、「建設業許可関係申請・届出等の電子申請利用とキャッシュレス化促進」などに取り組む。
経営の安定・強化では、「適正かつ公平な市場環境の整備と受注機会の確保」などを施策に位置付けた。新規の具体的な取り組みには、ダンピング対策として「標準労務費の勧告を踏まえた著しく低い労務費等に対する指導」を掲載した。
地域力の強化では、新規の具体的な取り組みとして「維持管理長期功労者表彰の実施」や「事業継承相談窓口の周知」など盛り込んだ。
目標指標では、現行プランにある高卒者の建設業への就職割合や、完全週休2日制の実施率などに加え、新たに「ICT施工の実施率」、「自己資本比率」、「地域建設業の受注割合」などについて、目標値の設置を検討することにした。
1日の懇談会には、県土木部から鈴木光晴副部長ら10人、構成員として県建設業協会の西村博英専務理事や、県建設専門工事業団体連合会の伊藤俊一専務理事、みやぎ中小建設業協会の舩山雅弘会長ら9人が出席。
会合では東北大学の増田聡教授が座長を務め、非公開で骨子案について意見交換した。
建設業団体からの主な意見は、生産性の向上で省人化を意識することや、書類の簡素化を徹底することなどを求める声が挙がった。
次回の懇談会は12月20日に開催する予定。ここで中間案を議論し、目標値なども決めることにしている。