スロープカーを更新 総事業費に約3億円 船岡城址公園(宮城県 柴田町)

[2024/10/29 宮城版]
 柴田町は船岡城址公園のスロープカーを更新する計画だ。今年に入りブレーキ装置に異常が生じたため、施設の経年劣化状況も踏まえ、車両と共にレールや下部、キュービクルなどを改修する。町の重要な観光資源であり改修に伴い安全性・快適性も向上させる方針。総事業費に約3億円をみており、工事期間は2025年3月~26年10月を予定する。

 更新工事に関する概要は28日に開かれた町議会議員全員協議会で説明があった。

 スロープカーは、城址公園内の船岡字館山にあたる斜面に設置されている。急峻な斜面を登り、公園の頂上まで観光客を連れていく。1996年の竣工で、嘉穂製作所(福岡県飯塚市)が施工した。斜行エレベーターに分類される跨座式モノレールで、1両20人乗りの車両を2両編成で運行している。軌道の総延長は305m。指定管理者の柴田町観光物産協会が管理している。

 設置から28年を経過し、車両本体や電気設備の損耗のほか、主要部品に製造中止などの影響が出てきたほか、今年に入って電気配線の劣化などが原因とみられる減速電動機ブレーキ装置の一部に異常が生じたことから、更新を決めた。

 説明によると主な工事内容は▽車両2両の更新▽下部の補強▽レール(軌道)等の更新▽高圧受変電設備更新──。支柱などに地震の影響とみられるゆがみが生じており、支柱や基礎の耐震化や塗装による補強も予定する。車両の製作やレールなどの専門的な工事は、嘉穂製作所への発注を見込むものの、支柱などの下部の補強や設備などの工事は別途、分割して発注する想定だ。

 財源は国の補助金を想定し、船岡地区の都市構造再編集中事業の採択、または関連事業対象となるよう協議を進めていく。

 補助金の見通しが付けば、12月補正予算に債務負担を設定し、一括で事業費を予算措置する見通し。下部の補強については本年度第4四半期に設計を委託し、25年度末までの工事完了を目指す。レールやキュービクルの更新は、26年度第1四半期中の発注を見込む。車両の製作と設置工事も含め、同年10月ごろの運行再開を目指す。

 城址公園には昭和40年代にリフトカーが設置され、その後、現在のスロープカーが整備された。公園ではサクラやアジサイ、ヒガンバナなどの花のまつりや、冬のイルミネーションなどの多くのイベントが開催され、ツアーが組まれるなど毎年多くのインバウンドが訪れている。

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