茂原市下永吉ため池改修が計画決定 洪水吐や取水施設など(千葉県)

[2024/10/26 千葉版]
 千葉県茂原市の県営下永吉地区土地改良事業が計画決定した。15haを受益地とするため池について、千葉県長生農業事務所が洪水吐や取水施設の全面改修、提体のドレーン工を進めていく。事業計画策定業務は日本水工コンサルタント(千葉事務所・千葉市中央区)が担当している。

 ため池が決壊した場合、農地のみならず多くの住宅地も被災し、人的被害や浸水被害が生じるリスクが高いことから、2021年に防災重点農業用ため池として指定された。

 機能診断を実施した結果、施設の老朽化が進んでいるため、防災面での対策を講じるとともに、安全で確実に水の利用・管理が可能となるよう改修を施す方針だ。また、茂原市は流域治水として進めている。

 具体的には洪水吐と取水施設を全面改修する。洪水吐の延長は27mで、現況と同じ位置に3面の越流部を設け、下流の水路に接続する。取水施設はスライドゲート式とし、緊急放流工を設置。洪水吐と取水施設はコンクリート造の一体的な構造物を想定している。

 ため池の提体を補強するため、法尻にドレーン工を施す。延長は77mとし、砕石を提体下流部の法面に盛る計画となっている。

 総事業費は2億1840万円。その内訳は洪水吐工1億200万円、ドレーン工3000万円、撤去工400万円、測量1800万円、用地買収補償5200万円など。

 県長生農業事務所によると、法手続きを進め、年内に事業計画が確定する見通し。その後、測量やボーリング調査、詳細設計などを進め、2026年度の着工を予定している。

 このため池は、2つの池で構成するY字形の親子池。江戸時代以前に整備されたもので、築150年以上が経過し、老朽化が著しい。1970年に堤体と洪水吐、1984年に取水施設をそれぞれ改修したものの、取水ゲートの操作が難しいほか、漏水などの不具合が発生しており、早期の対応が求められている。

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