Burano Oyamaが建築賞 環境賞は道の駅「明治の森・黒磯」に(マロニエ建築賞)

[2024/10/23 栃木版]

 県建築課は22日、県内の優れた建築物を顕彰する「第36回栃木県マロニエ建築賞」の表彰作品を公表した。マロニエ建築賞は「Burano Oyama 医療的ケアが必要な子供たちと家族の欲張り拠点」(小山市)が受賞し、前回から新設された「環境にやさしい建築賞」は「道の駅『明治の森・黒磯』」(那須塩原市)が受賞。優良賞には「田園を臨む回廊の家」(下野市)、「ROOF HOUSE」(栃木市)、「スリーボンドファインケミカル栃木工場」(足利市)の3作品が選ばれた。表彰式は11月21日午後1時30分から、県公館大会議室で開催する。

 この賞は、県民の美しい景観に配慮したまちづくりに対する意識の高揚と建築活動の活性化を図ることを目的に、都市景観の形成、歴史・文化の創造および建築水準の向上などに寄与すると認められる建築物や建築物群を、県と県建築士会、県建築士事務所協会、県建設業協会、日本建築家協会関東甲信越支部栃木地域会、とちぎ建設技術センター、日本建築学会関東支部栃木支所の7団体が共催して毎年度表彰している。

 表彰対象は▽意匠、形態等に優れ、文化性、芸術性を効果的に表現しており、将来のとちぎのまちをリードしていくような建築物▽地域の特性を生かした景観への配慮や優れた修景が施されているなど、まちづくりへの貢献が期待できる建築物▽高齢者、障害者等をはじめ、誰もが利用しやすいように配慮されており、利用者にやさしい雰囲気を作り出している建築物▽脱炭素社会へ向け、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化などの取り組みを行っている建築物-のいずれかに該当するもの。

 今回は2021年4月1日からから応募の日までに竣工(改修を含む)した県内の建築物や建築物群を対象に、7月1日から31日までの1カ月間を募集し、27作品の応募があった。これを審査会(委員長:梶原良成宇都宮大学教授)で現地調査と最終審査で選考して、表彰作品を選考した。

 表彰式では各受賞作品の表彰に加え、「受賞作品を語る会」として受賞者によるスピーチや審査会委員との懇談を予定している。また表彰式にあわせ、11月9日から15日午後1時まで、県庁15階企画展示ギャラリーで応募作品のパネル展示会を行う。

 受賞作品の概要は次の通り。(▽作品名(所在地)=[1]用途[2]建物概要[3]建築主[4]設計者[5]施工者[6]講評〔要約〕)
【マロニエ建築賞】
▽Burano Oyama 医療的ケアが必要な子供たちと家族の欲張り拠点(小山市間々田586-2)=[1]社会福祉施設(障害児通所支援施設)[2]W造、地上2階、延べ面積391.12平方m[3]一般社団法人Burano[4]NIDO一級建築士事務所[5]株式会社石島建設[6]住宅地の際に位置し田園に向けて開けたところに建つ、医療的ケアが必要な子供たちのための通所施設。総じて、何かに突出しているわけはないが、施設として閉じてしまうのでなく、利用者が地域の中でつながっていくための居場所として、隅々までバランスよく配慮された施設として高く評価された。
【マロニエ建築賞・環境にやさしい建築賞】
▽道の駅「明治の森・黒磯」(那須塩原市青木27)=[1]道の駅[2]S造、地上1階、延べ面積1182.26平方m[3]那須塩原市[4]株式会社刈谷建築設計事務所[5]石川・福田・深谷特定建設工事共同企業体[6]板室温泉などの観光地へ向かう街道沿いに位置する道の駅の建て替えプロジェクトである。とくに冬の気候が厳しい地域にあって、利用者が多数に上る公共的な施設が、創エネルギー及び建築的な省エネルギー性能によりNealy ZEBを達成していることは、適切な全体計画と相まって、環境にやさしい建築賞にふさわしいと評価された。
【マロニエ建築賞・優良賞】
▽田園を臨む回廊の家(下野市)=[1]住宅[2]W造、地上1階、延べ面積154.13平方m[3]Y・T K・T[4]株式会社岡本和樹建築設計事務所[5]株式会社川中子住建[6]住宅地のある段丘の縁に立地し、眼下には田園の景観が広がるという特徴的な場所に建つ住宅である。前面道路を超えてこの眺望を生かすため、床のレベルをさらに上げた舞台のようなリビングを活動的な家族生活の中心として設定している。東側の景観に優れるという立地を十分に生かし、遊び心のある心浮き立つ空間を展開しながらも、日常の実用性にも十分配慮して計画をされており、評価された。
▽ROOF HOUSE(栃木市)=[1]住宅[2]W造、RC造、S造、地上1階、延べ面積96.41平方m[3]個人[4]玉田脇本建築設計事務所[5]有限会社岡村建業[6]県南部の田園が広がる地域にところどころに残る緑地を背景とする土地に建てられた住宅である。先ず水平に大きく覆う鉄骨の屋根を設定して、その下に三つに分棟された棟が距離をとって建てられている。それら棟の内部空間と棟で形成された外部空間は、住まい手が場合場合に応じて積極的に使いこなすことで、自然を体感しながら自由でリラックスした生活が広がっていく可能性を感じ取ることができ、評価された。
▽スリーボンドファインケミカル栃木工場(足利市県町206-24)=[1]向上[2]S造、地上1階、延べ面積5791平方m[3]スリーボンドファインケミカル株式会社[4]株式会社竹中工務店[5]株式会社竹中工務店[6]県南部の田園に囲まれた工業団地に建つ化成品会社の新たな製造物流拠点として建てられた工場である。北側からの卓越風(赤城おろし)の影響を最小限にすることを課題として建築計画が進められていることが大きな特徴で、その結果として無機質になりがちな工業団地の風景に、清々しい景観をもたらしている。とくに北側を通る鉄道や駅からの眺望はこの地にフレッシュな印象を与え、地域の景観を刷新する提案がなされており、評価された。

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