ため池改修に3.4億円 26年度から2カ年工事 渋沢地区(宮城県 山元町)

[2024/10/18 宮城版]
 山元町は防災重点農業用ため池である下郷地区の「渋沢ため池」について2026年度からの防災工事着手を目指している。貯水量5万5000立方m規模の施設で、工事では堤体盛土材の改良や洪水吐の更新などを予定する。国の補助金を活用し、総事業費に3億4000万円を試算。工事に向けて、来年度は詳細設計に入る想定で、25年度予算に委託費を計上する見通し。

 事業のスケジュールや工事概要などについては、17日に開かれた議員全員協議会で説明があった。

 渋沢ため池は、坂元字渋沢1-2(行政区は下郷)に位置する施設で、江戸時代につくられたともいわれている。総貯水量は5万5000立方mで、土堤の堤防は高さ8m、長さ80mの規模。受水面積が16.8ha、集水面積が14.5haとなる。

 過年度の県の詳細調査により、ため池堤体下部の現状地盤が液状化する恐れや、コンクリート製の洪水吐が現行の基準を満たしていないことによる断面不足が判明している。防災重点農業用ため池に選定されており、県の防災工事等推進計画(21~25年度)に基づき対策を進める。

 22年度に基本設計となる測量調査設計業務をサトー技建(仙台市若林区)に委託。その後、事業計画書や計画概要書の策定業務を23~24年度にかけてそれぞれ宮城県土地改良事業連合会(仙台市青葉区)に委託した。

 現段階の防災工事メニューは、堤体について5780立方mの盛土材を土質改良する計画。洪水吐は全面撤去し、現在の基準に合わせた側水路型の施設を設置する。取水施設についても同様に現在の基準に合うよう、斜樋を口径250mmから同400mmに、底樋を口径400mmから同800mmに更新する。堤体工事に伴う護岸工(ブロックマット)の撤去・再設置も想定している。

 これらの工事に合わせ、ため池の浚渫も実施する。浚渫した堆積土砂は盛土材の一部として再利用する方針だ。また工事中はため池前の町道を通行止めとすることから、近接地に農道を活用したう回路も整備する。

 事業費の主な内訳は、詳細測量設計業務に1600万円、堤体工事(土質改良・護岸)に1億9800万円、洪水吐工事に6100万円、取水施設工事に5700万円を試算する。

 スケジュールは、来年度にこれらの対策メニューについて詳細設計を固め、26年度の着工を目指す。工事は国の補正予算の動向にもよるが、25年度補正で工事費が付けば、26年度当初からの着手を見込む。2カ年の債務負担を設定し、27年11月ごろの防災工事完了を目指す。

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