収蔵施設に着工 日立風流物 来年度中の供用目指す(日立市)

[2024/10/17 茨城版]
 日立市は本年度、日立風流物の展示・収蔵施設の整備計画で、先行する収蔵施設の整備に着手する。現在は、荻建築設計事務所(水戸市)により実施設計の策定作業を進めているところで、今月中にまとめる計画だ。工事は建築と設備の3件に分離し、早ければ年内にも着工する見通し。当初予算には、事業費として総額1億9258万円の2カ年継続費を設定し、25年度中の供用開始を目指す考えだ。

 日立風流物は、操り人形を乗せた人力で移動するカラクリ仕掛けの山車で、現在は計4基が現存する。1基当たりの大きさは高さ約15m(横幅約5~7m)、重量は約5tあり、5層からなる正面の表館が左右に開き各層でカラクリ人形芝居が行われる。4月の「日立さくらまつり」では毎年1基が披露されるほか、7年に一度行われる「神峰神社大祭礼」では4基の全てが公開され、演目が披露されている。

 これらの山車は、公開時以外には神峰神社敷地内(宮田町)の収蔵庫に解体された状態で収容されているが、築後60年以上が経過した収蔵庫は、経年劣化や狭あい化などが進行。保存会などからも施設整備が求められていたため、収蔵施設や常時展示・公開できる施設整備を計画。市文化財保存活用地域計画の個別計画である「日立風流物保存活用計画」に基づき、展示・収蔵施設などの整備を進めることとした。

 22年度には、乃村工藝社(東京都港区)に委託して基本計画を策定した。展示施設と収蔵施設を別々に整備し、喫緊の対応が必要となる収蔵施設を先行して整備を進めていく。

 収蔵施設の建設地は、旧宮田幼稚園跡地を活用する。建設規模は収蔵庫がS造平屋約283平方m、管理棟が木造平屋約45平方mで計画。23年度には荻建築設計事務所により基本設計を策定し、引き続き同社により実施設計を進めている。

 本体工事に先立ち、9月には収蔵施設整備事業外構(その1)工事の入札が行われ、白井産業が1357万円で落札した。建設地となる旧宮田幼稚園で、入口を拡張するなどの準備工を行う。工期は25年1月31日までとしている。

 本体工事は実施設計後から発注手続きを進めるが、遅くても年明けまでには着工する意向だ。工期は約10カ月間を見込み、25年度は外構(その2)工事を発注を予定している。

 収蔵施設整備後に計画を進める展示施設については、市役所北側にある駐車場の一部スペースを建設地として活用する考え。内部には山車のレプリカなどを設置するほか、ギャラリーや休憩施設などの機能も整備するため、延べ面積は約1000~1500平方m程度を想定している。山車の高さが約15mほどとなるため、建物も約20mの吹き抜けを設置するなど、見せ方にも工夫を行う。

 当初は収蔵施設から2年遅れて27年度ごろの完成を見込んでいたが、施設内容について検討する余地が残っているため、設計の着手時期についても未定としている。

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