事業費40億円を増額 西那須野道路の事業再評価で(関東整備局)
[2024/10/16 栃木版]
関東地方整備局の20204年度第3回の事業評価監視委員会(委員長:久保田尚埼玉大学名誉教授・日本大学客員教授)は、国道4号矢板拡幅・矢板大田原バイパス・西那須野道路の再評価を実施した。このうち西那須野道路は、用地補償費や労務費・材料単価の増額に加え、既設用水路の付け替えや歩道橋の追加などで事業費を約40億円増額する。矢板拡幅と矢板大田原バイパスについては事業費の変更はなく、これらの事業はいずれも継続し、引き続き用地取得や工事を推進して、早期開通に向け事業促進を図ることとしている。
用水路付替や歩道橋追加など
国道4号の3つの事業は、交通渋滞の緩和や交通安全の確保、地域産業の支援、災害時・緊急時の速達性・代替性の確保を目的に実施している。矢板拡幅は矢板市片岡から同市針生までの延長6.5kmで、幅員は4車線22.0m。2015年度に事業化され、全体事業費は約218億円となっている。
その先線となる矢板大田原バイパスは、矢板市針生から那須塩原市三区町までの延長7.9kmで、幅員は4車線22.0~25.0m。19年度に事業化し、全体事業費は約400億円とする。その先に続く西那須野道路は、那須塩原市三区町から同市西富山までの延長4.6km、幅員4車線24.0mで、06年度に事業化した。全体事業費は前回評価時に約205億円としていたが、今回の見直しによる増額で約245億円となった。
前回の事業評価以降、矢板拡幅では用地取得率が24年3月末時点で約65%となっており、23年度からは工事に着手して改良工事を実施している。矢板大田原バイパスは24年3月に設計説明会を実施し、用地取得に着手。西那須野道路は用地取得が完了し、17年度から工事着手して改良工事、電線共同溝工事、歩道橋工事を実施している。
周辺環境の変化としては、22年3月に西那須野道路と交差する国道400号の三島工区(延長0.6km)が4車線供用開始したほか、国道4号現道と三島交差点で交差する都市計画道路3・4・8号藤原西那須野線の五軒町工区(延長0.5km)の現道拡幅事業が22年度に事業化された。那須塩原市では第2次道路整備基本計画(改定版)で、西那須野駅周辺に新規事業を計画している。
今回の事業再評価で、西那須野道路には用地補償費で約13億円、既設用水路の付け替え部分の増加で約16億円、地元協議による歩道橋の追加等で約9億円、労務費・材料単価の上昇で約2億円をそれぞれ増額する。
用地補償費は、用地調査により当初計画では想定されていなかった電力管や給排水管を含む大規模な地中配管が埋設されていることが判明したため、移設費用が追加となったほか、影響範囲が拡大してさらなる建築物等の補償が追加となったため、用地補償費が増額となった。
既設用水路の付け替え部分は、当初計画で拡幅区間の既設用水路を現状のまま、拡幅部のみ付け替えを行う計画だったが、既設用水路の詳細構造を調査した結果、道路拡幅後の交通量等を考慮すると現道下の水路の耐力が不足するため、付け替えが必要となったことに伴い車道の切り回しやそれに伴う電柱等の仮移設に要する費用が増額となった。
歩道橋は、烏森神社・烏ヶ森公園入り口と周辺地区、およびこれら施設の駐車場を結ぶ参道が西那須野道路の整備で分断されるため、参道としての機能を確保する必要が生じ、また西那須野道路の乱横断防止の観点からも、参道の位置に併せて横断歩道橋を設置するため増額となった。
労務費や材料単価は、原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇などで各建設資材価格や労務費が高騰しており増額する。今後も上昇が継続する場合、さらなる費用増加の可能性がある。
事業の今後の見通しは、矢板拡幅が23年度から工事着手して改良工事を実施しており、橋梁部切り回しに伴う協議・調整に時間を要しているが、引き続き用地買収、工事の促進を図る。また、今後の進捗に応じて物価・労務費上昇を精査する。
矢板大田原バイパスは、23年度から用地買収を開始している。鉄道、河川との協議・調整に時間を要しているが、引き続き調査設計、用地買収の促進を図る。また矢板拡幅と同様に、今後の進捗に応じて物価・労務費上昇を精査する。西那須野道路は、17年度から工事着手して改良工事、電線共同溝工事、歩道橋工事を実施しており、引き続き工事の促進を図る。
事業の投資効果は、矢板拡幅の費用便益比が事業全体で2.7、残事業で3.2となっており、矢板大田原バイパスは事業全体で2.2、残事業で2.3、西那須野道路は事業全体で1.6、残事業で9.3となった。3事業をまとめた一体評価では、事業全体で2.1、残事業で3.3となっている。