76施設の在り方検討 公共施設マネジメント実行計画(第2期) 廃校の拠点化など(日光市)
[2024/10/10 栃木版]
日光市は、公共施設マネジメント計画実行計画(第2期)をまとめた。将来に向けて公共施設を最適化するため、市内全公共施設の中から今後10年間で施設のあり方を検討する76施設を抽出して、上位計画の公共施設マネジメント計画で示した基本的な考え方や方向性に基づき、個別施設の評価を見直して2033年までの10年間に実施する取り組みを定めている。重点的な取り組みには、学校の統廃合に伴うコミュニティ施設の活用や拠点化、老朽化が進む運動公園体育館機能の学校施設と共用化などを挙げている。
計画では、市内の公共施設全229施設のうち、施設廃止、保有形態変更、施設再編を行う76施設を施設評価の対象とし、市の考えや取り組み方法を示す。残り153 施設のうち、公共施設122 施設については当面は適切な維持管理に努め、学校施設31 施設には今後、計画を別途策定した上で、施設ごとの方向性を決定する。
具体的な対応策検討に向けて、実行計画実現のための基本方針には▽利用実態・今後の人口動態及び更新費用等を見極めた個別施設の方向性の検討▽継続する施設の適切な施設管理手法の確立及び効果検証の実施▽民間活力導入による施設利用促進及び運営の効率化▽所管を超えた横断的な取組体制の構築-の4つを定めた。
計画策定にあたり、今後10年間の維持更新コストを試算すると、市の施設保有面積は47万9645平方m(2023年3月末現在)に対して、検討する76施設を仮に廃止した場合は42万8585平方m(11%減)に削減する。
検討する76施設で中長期的に望ましい対応を実施すると、10年間で137.9億円計上し、必要な維持修繕費だけに限定しても10年間で34.3億円の見込み。検討の76施設全てを削減すると、年間で3.4億円から13.8億円のコスト削減や年間のCO2排出量削減にもつながる。
第2期に重点的に進める取り組みには▽小学校の統廃合に伴うコミュニティ施設の活用▽学校施設の統合によるコミュニティ施設としての拠点化▽老朽化が進む運動公園体育館機能の学校施設と共用化▽地域・地区公民館の住民交流拠点施設化▽ポテンシャル調査-をあげている。
「小学校の統廃合に伴うコミュニティ施設の活用」では、廃校となる学校の最寄りのコミュニティ施設に学習場所を設置して統合先の分教室とし、ICTを活用して本校と分教室間での交流授業を実施する。「学校施設の統合によるコミュニティ施設としての拠点化」では、児童・生徒の減少を踏まえて学校施設を軸に地域の拠点として、地区センターや公民館等の連携強化でコミュニティスクールの充実を図る。
「老朽化が進む運動公園体育館機能の学校施設と共用化」は、市体育館について近隣の学校施設が廃止となった場合は学校体育館への機能移転を検討し、学校廃止にならなくても空き時間等を分析したうえで共有化を進める。「地域・地区公民館の住民交流拠点施設化」は、公民館をコミュニティセンターとすることで利用条件が緩和でき、幅広いニーズに柔軟に応える施設になり地域の活性化につなげる。
「ポテンシャル調査」は、公共施設マネジメントの推進で廃止の施設や継続する施設も維持管理経費などのコスト削減が求められ、民間事業者の有効活用が期待できる私有財産を調査・分析し、優先的に活用ができる財産を積極的に誘致活動を展開する
また、計画の対象外となっている200平方m未満の小規模施設(326施設、2万480平方m)や公衆トイレ(103施設、2834平方m)も、トイレの統廃合や廃止などによる適正化を進めていく。学校施設は、児童生徒数の将来推計をもとに統廃合の検討や余裕スペースの有効活用を目指して、本年度中に個別に「学校施設マネジメント実行計画」を策定する予定としている。