戸定邸を大規模修理 活用計画案(松戸市)
[2024/10/10 千葉版]
松戸市は10月9日、戸定邸に隣接する松雲亭で、7回目となる戸定邸保存活用審議会(委員長・渡辺勝彦元日本工業大学副学長)を開催し、保存活用計画案について審議した。中長期的な保存整備や活用方法などを定めており、2026年度に先行防災工事、31~33年度に大規模修理を実施する方針を示している。パブリックコメントの手続きを経て年度内にとりまとめ、文化庁に保存活用計画の認定を申請することにしている。
徳川昭武が住んでいた戸定邸は、建物の各所に雨漏りや床の傷み、破損などの経年劣化が見られ、応急的な処置として簡易修繕で対応している。今後、計画的な保存修理や防災対策に取り組むため保存活用計画のとりまとめを進めており、整備にあたっては、認定計画に基づき国や県の補助金を活用することを想定している。
保存修理や防災工事のスケジュールをみると、26年度に一般図と構造図を作成し、27年度に地質調査と耐震診断を実施する。その後、28~30年度に設計をまとめ、31~33年度の3カ年で、不陸の調整や床版のしめ直し、壁修理、瓦・銅板屋根の葺き替え、建具の補修、雨水浸透桝と配水管の新設、自動火災報知機や火災通報装置の更新などを進める。
耐震補強工事については、27年度に実施する耐震診断の結果をふまえ判断する。
バリアフリー対策については、昭武が眺めた景色を体感できるよう玄関棟から表座敷棟にいたる範囲をバリアフリー見学範囲として検討する。
トイレについては、復原が可能なものは復原し、復原が難しいものは、見学者用のトイレに復原することを長期的な目標とする。
また、31年度からの保存修理を前に、ショートなどによる火災を防ぐため、26年度の先行防災工事で、放電検出ユニットや感電ブレーカーを新設。設置から30年以上が経過している防水銃を撤去し、易操作性消火栓に換え、消化ポンプを更新する。先行防災工事の設計は、25年度にとりまとめる。
1884年に建てられた戸定邸は、9棟の建物が廊下で結ばれ、延床面積は725平方m。
計画策定支援業務は、随意契約により、文化継承建築設計事務所(鎌ケ谷市)が担当している。