補正で事業費確保 本庁舎災害復旧 防災強化へ近く設計(日立市)

[2024/10/5 茨城版]
 日立市は、9月議会で議決を得た一般会計補正予算に、「令和5年台風第13号」により豪雨災害を受けた市役所本庁舎の復旧事業費などを盛り込んだ。本庁舎災害復旧事業では、27年3月までを計画期間とする市庁舎安全対策計画の決定を受け、当初2カ年としていた継続費を3カ年に延長し、総額も10億9244万円に増額している。今月中には、9月補正で委託料を確保した設計にも着手し、設計が完了したものは年度内にも着工する計画だ。

 市が9月に策定した「市庁舎安全対策計画」は、本庁舎の防災機能強化に向けたもの。概算事業費には約31億円を投じ、庁舎敷地内にある河川合流部の改修や、庁舎地下階の止水化対策などを進めていく。事業費内訳は、河川改修工事に約7億9000万円、庁舎の浸水対策工事に約22億4000万円、実施設計や工事監理に約7000万円と試算。既に応急復旧などで実施済みの事業もあるが、発電設備のリース代などこのほかの経費を含めると、総額は35~36億円ほどとなるもようだ。

 本庁舎災害復旧事業のうち、当初予定していた免震装置の復旧工事は、本庁舎の建設工事を担当した竹中工務店と契約を結んだ。工期は約18カ月で、オイルダンパー4基の改修工事を進める。9月補正で確保した非常用発電機の復旧には、24-26年度の3年間で総額9億2863万円投じる計画だが、こちらの工事も同社に発注する見通しで、年内には着工する。工事費にはこのほか、コジェネレーション発電機復旧工事負担金(25年度7751万円)などを盛り込んだ。

 本庁舎の安全対策では、設計委託料として3797万円を確保。今月中にもコンサルに委託するもようだ。工事では、本庁舎の浸水対策として、▽庁舎外周部への止水壁設置▽免震グレーチング閉塞▽止水扉改修(地下階)▽地下階機械室への緊急排水ポンプ等設置──などを行うための設計をまとめる。このほか、庁舎西側での浸水被害を軽減するため、現在の駐車場敷地内に導流堤(溢水した水の流れを誘導する堤防)を整備する。

 設計がまとまったものについては、年度内にも着工する運び。全ての工事は25年度中に着工する考えで、26年度中の工事完了を目指す。

 このほか、治水対策として数沢川の改修詳細設計業務委託料に3541万円を予算化した。今回の被害では、敷地内にある数沢川と平沢川の合流部から越水したことが浸水被害の要因となったため、合流部の形状をT字形からY字形に改修する。これにより、水流の衝突による水位の上昇を抑え、河床を掘り下げて川の水を円滑に流す計画だ。設計では、形状改修や合流区間の河床掘り下げに関する護岸設計や、数沢川の東側護岸沿いに二線堤(河川の外側に築造する堤防)を整備するための設計をまとめる。

 これらの工事費については、25年度予算にも確保する方針だが、早ければ12月議会の補正予算に前倒しする可能性もあるとしている。

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