安全確保で地域活性化 一級河川荒川 盛大に災害復旧事業竣工式

[2024/9/25 栃木版]

 県は21日、那須烏山市武道館で一級河川荒川災害復旧助成事業の竣工式を開催し、県、国交省、国会議員・県議会議員・市議会議員、自治会等の地元関係者など約100人が出席して盛大に事業の完成を祝った。この事業では6年の歳月と約63億円を投じて、築堤や護岸、および排水樋門や取水樋門、橋梁架替を実施。荒川(塩谷)の沿川の治水安全度が向上することで、この地域のより一層の発展につながっていくことを祈念した。

 式典の冒頭、福田富一知事は「令和元年東日本台風では県内各地で甚大な被害が発生し、荒川流域でも数多くの被害が発生した。このため県は荒川改良復旧助成事業に着手し、地元の理解と協力を得ながら、この度竣工することとなった」と経緯を説明した。

 続けて「事業が完成することで、地域の安全が確保でき、農業にも安心して取り組め、観光も含め地域再生や活性化にも寄与していく。本県でも今年は自然災害が発生し、早期復旧に取り組んでいる。激甚化する水害には、地元の方々と流域治水を進めることが必要であり、今後も地域のためにお力をお貸し願いたい」とあいさつし、那須烏山市の発展を願った。

 江連宏典烏山土木事務所長の工事経過報告の後、来賓から簗和生衆議院議員、上野通子参議院議員、高橋克法参議院議員、西澤賢太郎国交省水管理・国土保全局防災課長、中島宏県議会副議長、川俣純子那須烏山市長がそれぞれ祝辞を述べ、引き続き国土強靭化に努めるとともに、地域の一層の安全・安心を祈念した。

 式典終了後には、屋外に場所を移して自然災害伝承碑の除幕式を行った。県建設業協会烏山支部の協力で作られた伝承碑の除幕と、事業の竣工を祝うくす玉の開披が関係者の手で行われた。伝承碑は、岩子地区の荒川沿いに設置される。

 2019年の令和元年東日本台風で、那須烏山市内の荒川(塩谷)では堤防決壊や越水により、小倉・藤田工区で浸水面積68.8haおよび浸水家屋170戸、下流の向田工区で浸水面積78.8haおよび浸水家屋117戸などの甚大な被害が発生した。

 このため県は、災害復旧助成事業を導入するとともに、堤防への腹付盛土による堤防強化を実施。越水実績が確認できる区間は「越水させない原形復旧」で堤防を嵩上げし、越水実績が確認できない区間は改良復旧による堤防嵩上げ等を行い、この原形復旧と改良復旧を組み合わせることで再度災害防止を図った。

 藤田橋から新荒川橋までの小倉・藤田工区(L4.4km)では築堤、護岸、堤脚水路、排水樋門5カ所、腹付盛土を実施し、落合堰から荒川橋までの向田工区(L1.5km)では築堤、護岸、堤脚水路、排水樋門1カ所、取水樋門1カ所、橋梁架替1橋(落合橋)を24年度まで施工して、このほど事業を完了させた。総事業費には、63億4000万円を投じた。

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