仙台駐屯地に約123億円 25年度予算の概算要求 最適化事業など(東北防衛局)

[2024/9/19 宮城版]
東松島市役所で自衛隊施設の強靭化に向けた取り組みが説明された 東松島市役所で自衛隊施設の強靭化に向けた取り組みが説明された[/caption 防衛省の2025年度予算概算要求で仙台駐屯地に約123億円、松島基地に約42億円、霞目駐屯地に約10億円、多賀城駐屯地に約7億円、船岡駐屯地に約4億円、反町駐屯地に約2億円、大和駐屯地に約2億円を求めていることが判明した。このうち仙台と松島では最適化事業(既存施設の更新等)の工事費などを要求。13日には東北防衛局が東松島市で、地元建設業者に向けて最適化事業を含む自衛隊施設の強靭化に向けた取り組みを説明した。

 自衛隊施設の強靭化については、防衛力整備計画において2023~27年度で約4兆円を投じることになっている。内訳は最適化事業が約1兆7000億円、災害対策が約4000億円、司令部の地下化等(火薬庫の整備含む)が約4000億円、部隊新編・新規装備品導入に係る施設整備等が約1兆4000億円。

 最適化事業はECI方式等による大型発注とし、それ以外の災害対策や部隊新編・新規装備品導入に係る施設整備などは基本的にこれまで同様の分離分割発注とする。

 最適化事業は、全国の各基地・駐屯地などに保有されている約2万3000棟の建物やライフライン等を対象に、構造強化、再配置・集約化、老朽改修、省エネ対策などを進める。宮城県内は建て替えが360棟、改修が105棟となっている。

 ECI方式は設計業務に対し、技術協力業務の受注者が施工者の視点から技術協力を行う。設計後の工事発注に当たっては、技術協力業務の受注者に優先交渉権が付与される。

 東北防衛局は本年度、公募型プロポーザルを経て仙台駐屯地と松島基地の施設最適化総合設計業務を久米設計(東京都江東区)・協和コンサルタンツ(東京都渋谷区)・八洲建築設計事務所(青森市)JV、施設最適化総合設計に係る技術協力業務を竹中工務店(大阪市)・竹中土木(東京都江東区)・佐藤工業(東京都中央区)・阿部和工務店(仙台市青葉区)・中城建設(仙台市宮城野区)・小野良組(気仙沼市)JVに発注した。履行期間は2029年3月11日まで。

 ECI方式による工事の進め方は、本年度中に1期工事を契約し、それ以降は設計が完了したフェーズから段階的に工事契約(随意契約)していき、複数年かけて行う。

 13日には東松島市役所で東松島市建設業協会(橋本孝一会長)の会員に対し、自衛隊施設の強靭化に向けた説明会が開かれた。あいさつで橋本会長は市内において建設業の受注が減少していることについて触れ、松島基地の強靭化対策工事を手伝うことで「この不況をなんとか乗り切れる」と話し、協力を求めた。

 説明会では東北防衛局調達部調達計画課の木山純課長が講師を務め、松島基地の最適化事業や、地元企業の活用に関する取り組みなどを紹介した。

 松島基地の最適化事業については、建て替え対象棟数が63棟、改修対象棟数が47棟となっている。改修は屋根防水や外壁、トイレの改修と、空調機の更新といった老朽化対策に加え、防護性能の付与に伴う改修として外部建具の強化、換気システムの遮断装置の追加、入場管理システムの追加などを行うとした。

 25年度予算の概算要求では、松島基地の最適化事業に約31億円、飛行場舗装の整備などに約11億円を求めていることを伝えた。

 地元企業の活用に関する取り組みでは、これまで入札参加で企業と配置予定技術者に元請としての同種工事(同種業務)の実績(経験)を求めていたが、これに加え、防衛省発注の総合発注工事(総合発注業務)の一次下請としての実績も認めることにした点を紹介。

 このほか、最適化事業のECI方式で技術協力業務の受注者を選定する際に、県内下請業者への一定程度の下請発注率を課していることや、評価基準に地元企業を含めたJVの組成と地元企業に対する下請発注率に応じた加点を実施していることなどを紹介した。

 さらに地元企業への発注を円滑化するため、相指名業者(同一入札に参加した他の企業)が協力企業として参加できることを容認。公正な入札の確保に留意した上で、相指名業者を含む地元企業の協力企業参加を認めるとした。

 なお、本年度の松島基地の工事については、雨水排水整備土木工事と、空調設備整備機械その他工事を一般競争入札で発注する。雨水排水の工事は12日付で公告しており、10月7日まで参加申請等を受け付け、12月2日に開札する。空調その他の工事は第3四半期に入札公告を予定している。

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