年内に整備構想策定 「文化と知」の創造拠点 検討委が最後の委員会(県総合政策課)

[2024/9/11 栃木版]

 県総合政策課は10日、県庁で第6回「文化と知」の創造拠点整備構想策定検討委員会(委員長:須加英之宇都宮共和大学・宇都宮短期大学学長)を開催した。今回は最後の委員会となり、県「文化と知」の創造拠点整備構想(案)を協議して各委員が意見を出し合った。今後は今回の意見も踏まえて構想案を取りまとめ、パブリックコメントを経て本年12月にも整備構想を策定する。現時点の整備スケジュールは、計画・設計を3年から5年、工事を3年から4年かけて実施すると想定している。

 議事に先立ち、福田富一知事は「昨年の8月に第1回検討委員会を開催して以来、5回にわたって熱心にご議論をいただき、専門的あるいは利用者の視点から、それぞれの知見に基づく大変有益なご意見を賜った」と謝意を表し、「文化と知の創造拠点が将来にわたり県民に愛され、誰もが誇りに思える、とちぎならではの施設となるよう、引き続きご支援を」とあいさつした。

 最後の委員会では、これまでの検討結果をもとに策定した基本構想案について協議した。それによると、基本理念は本県の文化振興の中核として将来にわたり県民に愛され、誰もが誇りに思えるとちぎならではの拠点となること、さらにあらゆる人々が思い思いに利用でき、様々な主体が拠点を通じて出会い、交流することで、とちぎの新たな文化や知を創造する場とする。

 この基本理念に基づくコンセプトは、「とちぎの『文化と知』を開く・つなぐ・育む拠点」と位置付け、「開く」では誰もが気軽に利用しやすく、「つなぐ」では3施設の連携強化や相互利用の促進を図り、「育む」では新たな「文化と知」を生み育む場となることなどを目指す。

 機能と役割は、3施設固有の機能を生かしつつ、連携による相乗効果を発揮することで全体としての機能と役割を果たすことを目指す。また「デジタル」「共生社会」「環境配慮」「地域連携」といった、新しい考え方に基づく機能と役割が求められるとしている。

 整備地は、県内各地からのさまざまな交通手段によるアクセスに優れ、中心市街地に近接してまとまった県有地であることなどから、宇都宮市中戸祭1丁目の県立体育館跡地とする。敷地面積は3万3630平方mで、現在の美術館(1万2627平方m)と図書館(4786平方m)をあわせた面積の約2倍を確保でき、3方向が道路に面していてアクセス性にも優れる。

 敷地計画は、基本理念とコンセプトを踏まえるとともに、周辺環境や経営環境の調和に配慮した敷地利用を行うこととする。施設計画では、延床面積の合計を約3万6000平方mと試算し、県産の材料や伝統工芸品などの活用でとちぎらしさが感じられる施設整備を行う。

 また、3施設の固有スペースを確保しつつ、拠点としての共有スペースを設けるなど施設を一体的に整備し、設備やスペースの合理化を図るとともに相互利用・相互交流を促進して、拠点としての魅力や児童を充実させる。

 諸室の考え方は、美術館が収蔵庫や常設展示室、企画展示室、ワークショップ室など計約1万5000平方mとし、図書館が閉架書庫、資料整理室、開架エリア、閲覧エリア、業務エリアなど計約1万8000平方m、文書館が収蔵庫や展示室、閲覧室、研究室など計約3000平方mを目安とする。このうち各館のエントランスホールやショップ、レストラン、執務室、設備機械室などは独自の諸室ではなく、拠点として共用することを想定する。

 管理・運営計画は、3施設の機能強化や新たな機能の実現などを見据えた適正な管理・運営体制を確保するため、各施設のコア業務を行う部門のほか全体の企画運営を行う部門を設置し、そこで拠点運営の統括・連携企画の立案・運営や、広報、全体の調整、総務事務などを実施する。

 事業計画は、開館に向けて施設整備計画や管理・運営計画、事業手法について引き続き詳細に検討する。整備全体のスケジュールは、現時点で計画・設計を3年から5年、工事を3年から4年かけて実施し、半年から1年の開館準備の後にオープンすると想定している。

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