一般会計7兆円を要求 来年度予算概算要求 強靱化は事項要求で検討(国交省)
[2024/9/3 栃木版]
国交省の2025年度予算の概算要求によると、要求額は一般会計が前年度の1.18倍となる7兆0330億円、東日本大震災復興特別会計は1.33倍の617億円、財政投融資は0.74倍の1兆5443億円となる。主な要求内容は、「流域治水」の加速化・強化に8311億円やインフラメンテナンスの実現に9074億円、防災・安全交付金に1兆0405億円、社会資本整備総合交付金に6089億円など。このほか、国土強靱化5か年加速化対策は事項要求を行って予算編成過程で検討するほか、「国土強靱化実施中期計画」に向けた検討を加速化する。
予算概算要求の基本方針は、「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」の3点を柱に、「重要政策推進枠」も最大限活用してメリハリを付けた要求を行う。国土強靱化は「5か年加速化対策」の着実な推進とともに、「国土強靱化実施中期計画」に向けた検討を最大限加速化する。
25年度の概算要求額は、一般会計が前年度の1.18倍となる7兆0330億円で、うち「重要政策推進枠」は1兆6100億円となる。内訳は、公共事業関係費が1.19倍の6兆2899億円(一般公共事業費6兆2319億円、災害復旧等580億円)、非公共事業が1.12倍の7431億円(その他施設費812億円、行政経費6619億円)となっている。
また、東日本大震災復興特別会計は前年度から1.33倍の617億円、財政投融資は0.74倍の1兆5443億円。このほか、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策や近年の資材価格の高騰の影響等を考慮した公共事業等の実施に必要な経費などは事項要求を行い、予算編成過程で検討する。
重点項目別の要求内容を見ると、「国民の安全・安心の確保」では東日本大震災からの復興・再生に617億円(復興庁一括計上)を要求。防災・減災、国土強靱化の推進では、気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・強化に8311億円を要求する。
また、密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の強化には392億円、地震・豪雨・豪雪等災害時における物流・人流の確保には4939億円を要求。盛土の安全確保対策の推進は、1兆0405億円の内数で要求する。
持続可能なインフラメンテナンスの実現には9327億円を、地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金)には1兆0405億円を盛り込んだほか、通学路等の交通安全対策の推進には3026億円を要求する。
「持続的な経済成長の実現」では、社会資本を戦略的かつ計画的に整備するため、効率的な物流ネットワークの早期整備・活用に4336億円、社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金)に6089億円などを要求。グリーントランスフォーメーション(GX)の推進では、住宅・建築物の脱炭素対策等の強化に1263億円、インフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進に193億円などを要求する。
国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)や技術開発等の推進では、DXの推進等に16億円や「インフラ分野のDXアクションプラン」の推進に124億円などを要求。担い手の確保・育成や生産性の向上に関しては、持続可能な建設業の実現に8億円を要求する。
「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」では、バリアフリー社会の形成と活力ある地方創りに向けて、地域公共交通や観光地・宿泊施設等のバリアフリー化の推進とユニバーサルデザインのまちづくりの実現に337億円の内数を、空き家対策、所有者不明土地等対策および適正な土地利用等の促進に122億円などを要求する。
デジタル田園都市国家構想の実現に向けては、地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備に4469億円などを要求。安心して暮らせる住まいの確保と魅力ある住生活環境の整備では、住宅セーフティネット機能の強化に835億円、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に327億円を要求する。