庁舎復旧費を増額 庁舎安全対策と治水対策へ設計費(日立市補正)

[2024/9/3 茨城版]
 日立市は、5日開会の定例市議会に、「令和5年台風第13号」の豪雨災害を受けた市役所本庁舎の復旧費などを盛り込んだ一般会計補正予算案(補正第2号)を提案。10億7328万円を追加し、本年度の総額を783億8946万円とする。主なものでは、本庁舎災害復旧事業で、当初予算で設定した免震装置の復旧工事を行う2カ年継続費について、電源設備の復旧工事も追加するなど期間を3カ年に延長したうえで、総額も10億9244万円に増額する。また、本庁舎の安全対策や治水対策に向けて設計費を確保する。

 市が策定している本庁舎の防災機能強化に向けた「市庁舎安全対策計画案」では、庁舎敷地内にある河川合流部の改修や、庁舎地下階の止水化対策などを進めるとされている。計画期間は本年9月から27年3月までのおおむね3カ年で、概算事業費には約31億円を投じる。内訳は、河川改修工事に約7億9000万円、庁舎の浸水対策工事に約22億4000万円、実施設計や工事監理に約7000万円と試算している。既に応急復旧などで実施済みの事業もあるが、発電設備のリース代などこのほかの経費を含めると、総額は35~36億円ほどとなるもようだ。

 今回の補正のうち、本庁舎災害復旧事業では、継続費として当初予定していた免震装置(オイルダンパー)の復旧工事に追加し、非常用発電機の復旧工事費や、コジェネレーション発電機復旧工事負担金(25年度7751万円)などを盛り込んだ。このうち、非常用発電機の復旧には、24-26年度の3年間で総額9億2863万円投じる。

 本庁舎の安全対策では、設計委託料などに3797万円を計上した。本庁舎の浸水対策として、▽庁舎外周部への止水壁設置▽免震グレーチング閉塞▽止水扉改修(地下階)▽地下階機械室への緊急排水ポンプ等設置──などを行うための設計をまとめる。また、導流堤整備として、庁舎西側での浸水被害を軽減するため、現在の駐車場敷地内に導流堤(溢水した水の流れを誘導する堤防)の設置に向けた設計を策定する。

 治水対策では、数沢川の改修詳細設計業務委託料に3541万円を予算化する。今回の被害では、敷地内にある数沢川と平沢川の合流部から越水したことが浸水被害の要因となったため、市庁舎安全対策計画には、合流部分の形状変更が盛り込まれている。計画では、合流部の形状をT字形からY字形に改修し、水流の衝突による水位の上昇を抑え、河床を掘り下げて川の水を円滑に流す計画だ。設計では、形状改修や合流区間の河床掘り下げに関する護岸設計や、数沢川の東側護岸沿いに二線堤(河川の外側に築造する堤防)を整備するための設計をまとめる。

 これら設計を行う事業については、25年度予算にも工事費を確保する方針だが、早ければ12月議会の補正予算に前倒しする可能性もあるという。

 このほかの補正では、久慈サンピア日立スポーツセンター敷地内に計画していた貸し出し用自転車(Eバイク)の倉庫設置について、利用者の利便性向上を図るため久慈サンピア日立の敷地内に変更するため、工事費214万円を計上する。

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