成田空港の機能強化へ 道路ネットワークの検討本格化 (千葉県道路協議会)
成田空港の機能強化を踏まえ、空港にアクセスする高規格道路ネットワークの検討を本格化する。30日に開かれた県道路協議会で県土整備部が明らかにした。9月3日に設置する分科会の中で、課題や整備効果などの検討を進め、基本方針をとりまとめる考えだ。
県道路協議会の委員長を務める四童子隆・県土整備部長は、成田空港で、さらなる機能強化などが進められている状況を説明し、新たな交通需要や渋滞対策に対応する必要性を訴え、「今後の高規格道路ネットワークのあり方について検討していきたい」と意気込みを語った。
首都圏空港である成田空港では、空港全体の能力向上を図るため、滑走路の延伸・新設のほか、ターミナルの再編や新貨物地区の整備などが計画されている。空港周辺では、地域未来投資促進法の弾力的な活用による大規模物流拠点の開発計画が表明されるなど、国際航空物流拠点としての期待が高まっている。
8月26日の国家戦略特別区域諮問会議で、岸田文雄首相は「成田空港を核とした国際航空物流拠点機能強化」について、日本全体の競争力強化の観点から、国家プロジェクトとして取り組みを加速していく考えを表明。国土交通省や関係省庁に対し、総合的な支援策をとりまとめるよう指示した。
首都圏空港をみると、成田空港は羽田空港に比べて、都心からアクセスする高規格道路の選択肢が少ないため、空港の機能強化に対応し、都心とのアクセスを考慮した広域道路ネットワークの整備を検討する必要がある。そのため、県道路協議会では、首都圏空港道路ネットワーク検討分科会を新たに設置し、課題を整理するほか、整備効果などを検討しながら、基本方針をとりまとめる。
成田空港周辺の高規格道路の整備状況をみると、空港の開港にあわせ、東関東自動車道と新空港自動車道が整備され、都心と成田空港を直結する唯一の高規格道路となっている。外環道と成田空港を最短で結ぶ北千葉道路は、起点側と終点側で事業を実施中。圏央道の県内未開通区間となる大栄JCT~松尾横芝IC間は26年度に開通する見通し。高谷JCT周辺から蘇我IC・市原IC周辺までの新湾岸道路は、本年度から概略ルートや構造の検討に着手した。
この協議会は、関東地方整備局や県、千葉市、高速道路会社で構成し、県内の幹線道路に関する計画・調整のほか、道路施策の検討などを担っている。本年3月には新湾岸道路や千葉北西連絡道路の検討状況などを確認した。
成田空港周辺における一般道路の整備計画については、県と空港周辺9市町が8月23日、「成田空港周辺道路検討会」を設置。空港周辺の一般道を対象に、整備を推進する事業中路線や、機能強化に伴う整備が必要な路線を盛り込んだ道路整備計画の策定作業を進めている。